無責任な女遊びが招いた恐怖

寝室

 

もう何年も前になる。

 

今だから書ける、あの時のことを・・・

 

結論から言ってしまうと、

俺は“不倫”をしていた。

 

その時の俺は20代前半、

相手は36歳。

 

二倍ほどの年齢差があるのだが、

なんだか人妻に興味があって・・・

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あの時の水子に今も苦しめられている・・・

同い年くらいの女の子には、

実はちょっと飽きていた。

 

36歳のH子は、

若い女とは一線を画するものがあった。

 

金は出してくれるし、

飯も奢ってくれる。

 

もちろんセッ●スは濃厚だった。

 

フェ●に始まり挿入、

射精も口で受け止めてくれた。

 

毎晩毎晩求められ、

俺の股間はヒリヒリしてもやり続けた。

 

なによりも、

H子は中●しをさせてくれた。

 

もしガキが出来たとしても、

旦那の子ということにすると言って。

 

旦那とは年に二回しかしないくせに。

 

会う度に「綺麗だよ」と言えば、

H子は嬉しそうにする。

 

日課のようにH子とのまぐわいが始まり、

今夜も中に出した。

 

※まぐわい(目合ひ)

目を見合わせて愛情を通わせた後の男女の性交。

 

だが、いつもと様子が違うH子。

 

H子「今日、やばいかも・・・」

 

ビビリな俺は、

寒気と吐き気が同時に起こった。

 

平静を装っていたが、

この日から何かの歯車が狂い始める。

 

一週間程した頃、

H子が生理周期でもないのに血が出始めた。

 

この時ばかりはH子もさせてくれなかった。

 

なんだか情緒不安定だった。

 

H子「・・・うん。そう。流れちゃったんだよ」

 

H子は凄い落ち込んで責めてきた。

 

俺と違ってオカルトチックな女だったから、

 

Y県の山の中にある先祖の墓に、

水子を供養すると言い出した。

 

俺は面倒だと思いながらも渋々付き合い、

その水子供養の墓へ行くことにした。

 

H子は俺の部屋に来た時に

ナプキンを変えていたのだが、

 

もちろん男の俺の部屋には汚物入れは無い。

 

なので、

玄関に置いてあるゴミ袋の中に、

 

その流れた水子っぽい血の付いたナプキンを

捨てるように言った。

 

H子はそれをゴミ袋に捨てて、

そのまま帰った。

 

その日の夜は一人で過ごし、

そして次の日の朝・・・

 

何か様子が変だった。

 

夢なのか現実なのかが分からない。

 

俺は目を開けているつもりでいる。

 

確かに俺は布団に寝ていて、

部屋の天井を見上げている。

 

でも、体がダルくて起こせない。

 

ガサササササッ!

 

なにやら玄関から音がした。

 

凄くビックリしたのは今でも覚えている。

 

(誰なんだ!?泥棒か!?)

 

そう思って体を起こしたいが、

一向に起こせない。

 

コントロール出来ない夢でも

見ているようだった。

 

ひた、ひた、と音がする。

 

(誰か来る!)

 

俺はドキドキしながらそれを待った。

 

部屋の間取りは1K。

 

キッチンを越えたらすぐに部屋だ。

 

それが近付いて来た時・・・

俺は自分の目を疑った。

 

来たのは知り合いでも泥棒でもなかった。

 

赤ん坊が天井を這っていたのだ。

 

オァオァァと野太い声を出しながら、

俺の目の前・・・

 

つまり、天井を横切るように這っている。

 

俺はそれまで幽霊や水子などは

鼻で笑って馬鹿にしていたが、

 

その時に感じていた恐怖は異常だった。

 

(このまま俺のいる布団まで這ってくるのか・・・)

 

考えただけでも恐ろしい。

 

体を動かそうと踏ん張るが、

やっぱり動けない。

 

逃げても逃げても逃げ切れない、

そんな悪夢を見た時のように。

 

赤ん坊が目の前を這っていき、

目線から消えた次の瞬間、

 

鬼のような形相をした婆さんが

俺の顔を横から覗き込み、

 

「おまえがぁ!!!」

 

そう叫びながら、

顔を思いっきり近付けてきた。

 

右手には何かの肉片を持っていて、

それはプクプクと動いている。

 

思わず俺は大声で叫んで飛び起きると、

いつもの見慣れた自分の部屋だった。

 

(やっと夢から覚めた・・・)

 

ほっと一息ついて起き上がる。

 

罪悪感からの悪夢だろうと思い、

服を着替えてH子と合流。

 

水子の供養に行くために。

 

供養する墓については、

 

そこにいる霊能者らしき婆さんに

水子を落としてもらうそうだが、

 

そこで俺は驚愕することになる。

 

なんと・・・

 

あの悪夢に出てきた鬼の形相をした婆と、

その婆さんが酷似していたからだ。

 

婆さんは俺を見るなり、

目をぎらっと見開かせてH子にこう言った。

 

「この男が父親だね?」

 

H子は気まずそうに頷く。

 

婆さんは俺を睨むと、

 

「あんたがしっかりしないからよ。

 

言っとくけどねぇ、

 

水子ってのは体を与えられずに

命を奪われるんだ。

 

子供の霊は無邪気な分、怖いよ。

あんたの人生変えるよ

 

俺は「はぁ?」と思ったが、

 

女遊びを慎むよう説教してくれたんだろう、

と勝手に解釈し直し、

 

「・・・はい」とだけ答えた。

 

婆さん曰く、

 

今回の水子はH子の先祖の墓には

入れないらしい。

 

H子の嫁ぎ先は今の旦那の家だから、

俺の子供は入れないらしいのだ。

 

霊の世界まで家系に縛られているのか、

と笑ってしまったが・・・

 

とりあえず御祓いを受けた。

 

帰って来てから、

俺は久し振りに女友達と会うことにした。

 

A美を家に呼んだ。

 

A美は霊感があると言ってはばからない

不思議系の天然娘だから、

 

一連の話を聞かせてあげようと思った。

 

A美は何も知らないはずなのだが、

部屋に入ってきて俺を見るなりこう言った。

 

A美「凄いもの背負ってるね・・・」

 

「はぁ!?」

 

実はこの時、

俺はA美に悟られないよう震えていた。

 

A美は冷静に淡々と話し始める。

 

A美「相当やばいよ・・・

 

背中にいる子、笑ってる。

無邪気な笑顔で・・・

 

「お前、本当に見えるんだな」

 

A美「最低・・・」

 

A美はそのまま帰ってしまった。

 

俺はその後も悪夢に毎夜うなされ、

睡眠不足になった。

 

さらには肩や腰がすぐに凝るようになり、

体調不良が続いた。

 

仕事も休みがちになった。

 

内科では原因不明ということで、

心療内科にかかった。

 

『仮面うつ病』

 

これが俺の診断された病名だ。

 

※仮面うつ病

典型的なうつ症状、特に悲哀、憂うつが存在しないか、または見落とされるくらいわずかであるのに反して、他の身体症状が顕著かつ支配的であるため、診断を著しく困難にしているうつ病またはうつ状態。

 

おかげで仕事は病休を取ることになるも、

そのまま職場復帰出来ずに引き篭もりに。

 

現在でも治療中で、

未だ仕事も見つかっていない。

 

(終)

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2 Responses to “無責任な女遊びが招いた恐怖”

  1. 運転代行業者 より:

    Sexするぐらいやったら、俺の小学生の子供でも出来る。最後まで責任とって供養して、あの世に導いたれボケが‼祟られて当たり前じゃ。

  2. より:

    あんた最低だな。
    「性欲」は命を育みこの世に送り出す「行為」の為にある生物に遺伝子的に組み込まれた自然の摂理でしかないんだよ。
    それを勘違いする奴等は頭が悪いし吐き気レベル。
    それを知らず中絶や間接的に流産や中絶の原因を作ってしまったら「人殺し」だよ。

    「水子」
    一般的にはそう呼ばれているけど、お腹に宿った瞬間から「一人の人間」何ですよ。
    感情もあるんですよ。
    私も生まれつき霊感があるようで思い返せばかなり不思議な体験をしています。
    其れ故…叔父や叔母、姪や姉と言った本来無事この世に産まれて一緒に生きていきたかった人達が居ることを知りました。
    皆…病気や自然的な形での流産でした。
    中には死産もありました。
    見ず知らずの私を妹や姪や叔母と認識してくれて命を何度か救ってくれました。

    感情を持った一人の人間を殺してしまった…それを忘れないで下さい。
    見ず知らずの人間が偉そうにと思われるかもしれませんが…言われるようなことをしているのはあんただ。

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