心霊スポットと言われる地下に行ってから 1/4

6年位前、

当時私がまだ10代だった時の事です。

(2011年4月投稿)

 

友人と私、

それと2つ上の先輩の4人で深夜、

 

地元で有名な心霊スポットに

行くことになりました。

 

男4人で心霊スポット巡りと、

なんともむさ苦しい感じですが、

 

友人は心霊的なものが特に苦手らしく、

先輩達は友人をからかうつもりで、

 

「○○(心霊スポット)

今から行こうぜ」

 

と提案しました。

 

その場所は山奥にある建物で、

車で向かいました。

 

その建物の地下で、 

10人近い人間が

火をつけて心中したとか、

 

建物の裏手の崖から

落ち武者が昇ってくる、

 

とかの噂がある所でした。

 

先輩達は、

「もちろん地下行くよな」

等と、

 

友人を脅かすように

笑って言っていましたが、

 

いざ現地に着くと、

「うお。マジで怖っ」

と言いながら、 

 

車から外観を眺めている

だけでした。

 

私が「降りひんのか?」

と先輩に尋ねると、

 

「じゃあお前降りろよ」

 

と言うので、

車を降りようとしました。

 

友人は、現地に着いてから

ずっと私のTシャツの裾を

握りしめていましたが、

 

「降りるわ」と言い、

離してもらおうとすると、

 

怯えた顔で、

 

友人「やばい。ここはやばいて。

絶対やばい」

 

と、私に訴えかけてきました。

 

とりあえず先輩達が急かすので、

友人の手を解かせて車を降りました。

 

そして、その建物の周りを歩いて、

ぐるっと一周。

 

裏手の崖も覗いてみて、

車の前に帰りました。

 

先輩達は興味深そうに

「なんか出た?」

と聞いてきましたが、

 

私は「いや何も」、

と答えました。

 

そして誰も一向に

車から出てこないので、

 

前の座席の先輩達に、

 

「お前らが行こうって言うたんやろ。

降りろって。地下見るんやろ」

 

と言いました。

 

先輩は「お前怖くないんか」

と聞いてきたので、

 

「あんまり」と答えると、

 

先輩の片方(A)が、

「じゃあ明日までここで泊まってみろ」

と私に言いました。

 

「なんでこんなとこで

寝にゃあかんのよ」

 

と、おそらく真っ当な意見を

返しました。

 

先A「怖くないんやろ?

10万やるって言うたら泊まるか?」

 

と提案しました。

 

「前金で今払うんならやるわ」

 

と答えました。

 

先A「ええで」

 

と言いながら、

財布の中から1万円札を

10枚出しました。

 

「なんでこんなに持ってんの?」

 

と笑いながら聞きましたが、

そういえば先輩Aは、

 

『パチンコやらスロットやらで

大勝ちした』

 

みたいな事を、

その日に言っていました。

 

「後で返せゆうても返せへんで」

 

と念を押して金を受け取り、

その提案に了承しました。

 

先輩達は「あほやこいつ」

と笑っていましたが、

 

私も「10万も出す方もアホやろ」

と返しました。

 

友人は何も言わず、

後部座席でうずくまっていました。

 

先輩達は私を置いて行く前に、

「地下行って来い」

と楽しそうに言ってきました。

 

10万円も貰った私は、

さして気分も害せず受け入れて、

地下に向かいました。

 

火事があったのは本当らしく、

まっ暗な中でもライトの光で、

 

壁中が焦げて真っ黒になっている

のが見えました。

 

地下はそんなに広くもなく、

目に付く所と言えば、

 

お風呂の浴槽のようなもの

だけでした。

 

車の前に戻り、

 

「壁が真っ黒だった。

火事でなんやらゆうてたやん」

 

と報告すると、

 

先輩達は「おー」と、

嬉しそうに聞いていました。

 

そして「明日の朝9時に迎えに来る」

と約束をして、

 

私一人を残して

車で山を降りていきました。

 

残された私は、

『あいつホンマに迎え来るんやろうな』

と少し心配しながら、

 

その廃墟の一番マシそうな

横になれる所を見つけて埃を払い、

座り込みました。

 

時刻は深夜1時くらいで、

 

どうやって暇を潰そうかと、

とりあえず携帯をいじっていました。

 

誰かに電話して時間を潰そうにも

時間が時間ですし、

 

電波は、ギリギリアンテナが一本

立つか立たないか程度なので諦めました。

 

しかし、こう山奥にもなると、

怖いのは幽霊より野犬とかじゃないのか、

と考えました。

 

廃墟は地下以外、

外に剥き出しですし、

 

地下は汚れがひどい上に、

さすがに気味が悪い。

 

これは、うかつに寝ると危ないな、

と考えていました。

 

あまりに暇なので、

 

もし幽霊が出てきたら等と

考えたりもしていました。

 

『まあびっくりはするかなあ・・・』

 

等と思っていたら睡魔が押し寄せて、

私は簡単に眠りに落ちていました。

 

目を覚ますと、

午前5時を過ぎたところでした。

 

夏場だったので

結構明るくなっていたし、

 

私は山を迷わない程度に

散歩することにしました。

 

野うさぎが居て軽く感動したりして、

こういう自然もいいなあと思い、 

廃墟に帰り、9時を待ちました。

 

9時になっても先輩は来ませんでした。

 

電波の良さそうな場所を探して

電話をかけたのですが、

 

友人の家で泊まった先輩二人は、

『すまん寝てた』

と、寝起き声で言っていました。

 

大体予想通りだったので、

 

私は「ええからはよ来い」

と、強めに言って迎えを待ちました。

 

迎えが来たのは

11時半を過ぎたところで、

 

先輩二人と友人、

あと先輩Aの彼女が車に乗っていました。

 

先輩達は「なんかあったか?」

と、しきりに聞いてきましたが、

 

私は「特に何も」

と、ありのまま話しました。

 

つまらなさそうでしたが、

「まあそんなもんだろう」

という結論に落ち着き、

 

早速山を降りるため、

私を乗せ車を発車させました。

 

(続く)心霊スポットと言われる地下に行ってから 2/4へ

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