そんな人は最初からいない

タオルを渡す

 

つい最近遭遇した、

すごく怖くもあり不思議な出来事。

 

仲の良い同級生グループ(男5人)がいて、

その内2人が近々結婚することになった。

 

2人とも年内には式を挙げると

言っていたんだけれど、

 

片方のAが先に籍だけを入れた。

 

その連絡がメールで入っていて、

 

その日の夜に祝いも兼ねて

皆で集まろうってことになった。

 

無論、奥さんになったB子さんも

一緒に連れて来ていたし、

 

もう片方のCも彼女のD子ちゃんを

連れて来ていた。

 

その日はカラオケに行ったりしたのだが、

それからもちょくちょく皆で遊んでいた。

 

近いうちに皆でBBQでもしよう

という話になって、

 

先日それに行って来た。

 

帰り際になって生憎の夕立ちで

皆ズブ濡れになり、

 

急いで車に駆け込んだ。

 

俺はAの車にB子さんと共に

乗せてもらっていたんだけれど、

 

B子さんが気を利かせてくれて、

 

「このタオル、乾いてるから使って」

と手渡してくれた。

 

その日は晩飯も皆で食べようと

いうことになったんだけれど、

 

とりあえずズブ濡れ皆は一旦帰って、

風呂に入ることにした。

 

借りたタオルをそのまま車内に

置いておくのもあれなので、

 

洗って返す旨を伝えて持ち帰った。

 

しばらくしてAに電話し、

 

「B子さんに借りたんだけど、

タオルどうしたらいい?」

 

と訊くと、

 

受話器越しにAとB子さんが会話

しているのがポツポツと聞こえた。

 

「いつでもいいよ。

また皆で集まる時にでも持って来て」

 

と言う。

 

「そうか、じゃあ今度持って行く」

 

と言って電話を切ろうとしたら、

B子さんが、

 

「いつでもいいよ。

ありがとうって言っといて」

 

なんて声も聞こえてきた。

 

そして問題が起きた先日のこと。

 

皆で遊ぼうってことになって、

もちろん俺はタオルを持って行った。

 

ところがB子さんの姿がない。

 

「B子さん、どうしたん?

これ、お前に渡しとくわ」

 

とタオルを返そうとしたが、

Aは一瞬目を大きくして止まった。

 

「B子さん・・・?」

 

Aの表情は明らかに、

そんな人知りませんって感じだった。

 

「お前の嫁だろ。

つうか、この前に電話しただろ。

 

タオルありがとうって伝えといて」

 

そう言ってタオルを手渡そうとしても、

 

「何・・・タオル?

これ誰の?俺知らんぞ」

 

なんて言う。

 

「いやだからBBQの時・・・」

 

そうこうしているとD子ちゃんが、

 

「あ、それ私の」

 

と言う。

 

「え?D子ちゃんのだったの?」

 

「そうだよ。

 

洗濯してくれるって言ってたね。

いいのにそんなん」

 

そう言って手を出すもんだから、

俺はD子ちゃんにタオルを手渡した。

 

タオルはD子ちゃんのものだったとしても、

さっきのAの反応が気になった俺は、

 

改めて「B子さん今日は?」

とAに訊いた。

 

「だから誰よ?その人?」

 

「いや、お前の嫁さん」

 

そこまで言って皆の顔を見たら、

全員が凄い怪訝な顔をしている。

 

俺はそういうノリなのかと思って、

 

「もういいよ、お前ら~」的な

ことで流していたが、

 

あまりにも皆が真剣な顔をしているので、

その内よく分からなくなってきた俺は、

 

「なぁ、マジで言ってんの?

 

B子さんと籍入れたって

メール送って来ただろ。

 

つうか、この前のBBQも

一緒に行っただろ・・・」

 

と、真剣にいつ何処で

皆で遊んだだの、

 

B子さんが聞かせてくれた前職だの、

 

B子さんにまつわる事柄を

必死で説明し出した。

 

それでもAは、

 

「○○(俺)、もういいよ。

本気で言ってんの?」

 

と怪訝な顔をする。

 

Cや他の連中も、

 

「お前いろんなところで働いてきたから、

 

前職の知り合いの話かなんかと

勘違いしてないか?」

 

と言う。

 

いよいよ訳が分からなくなってきた俺は、

言葉に詰まって考えを巡らせたが、

 

何をどう考えても、

これは別の人の話じゃない。

 

そうこうしているとD子ちゃんが、

 

「これは私がA君に貸していて・・・

 

それを○○君が使って、

洗濯して返すからって」

 

と言い出した。

 

どこをどう記憶を辿っても、

 

俺はAの車の中で、

B子さんから手渡されている。

 

「いや、でも俺がAに電話した時、

B子さんも傍にいて、声もしていた」

 

俺がそう言うとAは携帯を取り出し、

俺にアドレス帳や着信履歴を見せた。

 

B子さんの名前もなければ、

俺からの着信もBBQ以来一度もない。

 

俺は自分の携帯を見たが、

 

仕事の都合上、

着信量が異常に多い俺の携帯には、

 

一番古いものでも今日の日付だった。

 

「本当にB子さん知らんの?

みんな?・・・?」

 

俺がそう訊いても、

誰もかれも首を傾げるばかり。

 

B子さんなんていないよ・・・

 

結婚するの私とC君だけだし、

籍もまだ入れてないし」

 

D子ちゃんにそう言われて、

寒気が走った俺は押し黙った。

 

その日は皆で遊んで帰ったが、

 

後日、写真が大好きで

いつもデジカメを持ち歩いているCに、

 

BBQの写真がないか訊いたが、

あの日は撮っていないという。

 

いわく、

 

撮ろうとしたら雨が降ってきたから、

みんな車に駆け込んだと。

 

それ以前の写真もコンビニで全て

プリントアウトしたが、

 

B子さんの姿は一切無かった。

 

怖くなった俺はCに、

 

「お前の彼女はD子ちゃんで、

もちろん実在するよな?」

 

と訊いた。

 

「誰それ?D子なんていないよ・・・

お前、大丈夫か?」

 

完全に固まってしまった俺を見て、

Cは写真を指差し、

 

「嘘だよ、ウソ。

D子は俺と結婚する人だよ。

 

ちゃんと写ってるだろ」

 

と笑った後、

 

「でもB子さんはホントに知らんぞ」

 

そう言って、

微妙な表情を浮かべた。

 

(終)

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