幽霊が出るというお寺にて

寺

 

先日、『お化けでちゃったのよDVD』というのを、近所の八巻電機店というレンタルショップで借りてきて観ていたら、以前自転車通勤をしていた職場があったのだが、その通勤途中にあるお寺が出ていたのでびっくりした。

 

昔、この寺で行き倒れた人を住職が見つけたが、その後に餓死してしまったという。

 

その人の霊が出るというので制作会社の撮影スタッフが行ってみると、まんまと幽霊の撮影に成功したのだ。

 

本堂の傍に立っている木の辺りに白いモヤのような人影が、風に揺れるカーテンのようにゆらゆら動くのが映っている。

 

これは凄いということで、俺は友人のKと2人で肝試しに行ってみることにした。

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ビデオカメラに映っていたものとは

夜の10時過ぎに目的のお寺に着き、DVDに出ていた本堂の横にある木々をビデオカメラで撮影しながら見ていたが、10分20分と経っても何も起こらない。

 

これは長期戦になると覚悟して、近くの店で弁当を買ってきて、本堂の縁側に座って食べながら幽霊の登場を待った。

 

「トイレ行きたくなってきた」

 

そう言いながらKが弁当を置き、立ち上がった。

 

「ちょっと待ってくれよ。こんなところに一人で残ってるなんて無理だよ」

 

ビデオカメラを撮影状態にして、問題の木が立っている方向にレンズを向けて縁側の上に置き、俺たちはトイレに行くことにした。

 

トイレは、お寺の隣にある小さな児童公園にある。

 

一人用だったので、最初にKが入って、その後の俺が入った。

 

「先に帰ってていいぞ」

 

トイレの中から俺は言った。

 

「冗談言うな。そんなわけにいくか」

 

「でもカメラ置きっぱなしだから早く帰った方がいいだろ」

 

俺はふざけてそう言ったのだが、実際に誰かに盗まれないとも限らないので急いだ方がいい。

 

しかし、こんな時に限ってジャージャと小便はなかなか止まらない。

 

なんとか用を済ませて、俺たちはすぐに公園を出て本堂に戻った。

 

「あっ!カメラが倒れてる」

 

Kの声が静かな境内に響いた。

 

ビデオカメラが縁側の下の地面に落ちているのだ。

 

「まさか、幽霊が出たのか!?」

 

そう言って、俺は辺りを見回した。

 

「うわっ!弁当の中身が無い!」

 

Kが声を上げた。

 

食べかけだったKと俺の弁当の中身がカラになっている。

 

「ここに出る幽霊って、確か・・・」

 

俺はDVDの説明を思い出した。

 

行き倒れて餓死した人、だった。

 

「逃げろ!」

 

俺はKに叫んだ。

 

「ゴミは持っていかなきゃまずいぞ!」

 

Kは、この期に及んで律儀だった。

 

俺たちはカラになっている弁当の容器をビニール袋に入れて、急いでその場を離れた。

 

最寄りの駅までダッシュで逃げて、駅前のマクドナルドに入った。

 

店内は学生みたいな若い連中で賑やかだ。

 

「とりあえず、ホッとするよ」

 

「ビデオ見てみようぜ」

 

見るのは怖かったが、もしかしたら決定的な映像が撮れているかも知れないと、期待しながら再生する。

 

「よし」

 

Kは、ビデオを縁側に置いた辺りから再生した。

 

「あっ、猫だ」

 

なんだ、と俺はがっかりした。

 

俺たちがいなくなった途端、縁側に猫が飛び乗ってきて弁当を漁り始めたのだ。

 

「ちくしょー、そういうことか」

 

Kも悔しそうだ。

 

猫はしばらく弁当を食べている様子だったが、何に驚いたのか、跳ねるようにして弁当から飛び退き、そのままカメラに向かってきた。

 

「うわっ!」

 

Kがとっさに体をのけ反らせて声を出した。

 

猫がレンズに迫ってきてぶつかったのだ。

 

カメラは地面に落ちたようで、映像はそこで止まった。

 

「猫だったかあ」

 

Kはがっかりした調子で言ったが、一安心した感じだ。

 

「まあ、こんなオチだろうと思ってたけどな」

 

俺も胸をなで下ろした。

 

「でも猫のヤツ、何に驚いたんだろうな。誰か来たわけじゃないだろ」

 

Kが言った。

 

「ちょっと待てよ・・・何かがおかしい」

 

「俺たちが本堂に戻った時、カメラは地面に落ちていた。それは猫がやったわけだからいいとして、確か弁当のフタは閉めてあったぞ?!猫がフタを閉めるわけないし、それにもちろんそんな映像は無かったしな」

 

俺はそう言うと、背筋がゾッと鳥肌立った。

 

俺は弁当にプラスチックのフタを乗せただけでトイレに行った。

 

Kはフタをしっかりと閉めて行ったのかどうかは分からないが、猫は俺の弁当のフタをどけて食べていた。

 

映像の中で何かに驚いた猫は、弁当を食べかけたままその場を去っている。

 

しかし、本堂に戻った俺たちの弁当の中身は、どちらも無くなっていたのだ。

 

しかも、両方ともしっかりとフタがされている状態だった。

 

「誰がフタを閉めたんだよ?!」

 

俺はそう言って、Kの顔を見た。

 

ちゃんとフタを閉めておくなんて、まるで「ごちそうさまでした」と、そう言っているようではないか。

 

(終)

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One Response to “幽霊が出るというお寺にて”

  1. 匿名 より:

    幽霊見たくて肝試しに行ったのに、実際
    幽霊の存在を感じると、ビビって喚き散らすの止めたら?
    何しに行ったのお前ら?深夜にうるさいだけで周りにも迷惑だ。

    内閣不信任案を出しといて、実際に解散したら「解散するな」と
    ギャーギャー喚き散らす民進党と同じじゃねーかよ。

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