僕は死んだんだ

石

 

変った幽霊に出会った話。

 

俺は釣りが趣味で、富士の湖でバスフィッシングをしていた時のことだ。

 

その日は朝早くから出掛けたが全く釣れなくて、もう昼だし飯でも食うかと思って周りを見渡した。

 

すると、木陰に椅子の代わりになりそうな丁度良い感じの石があった。

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その石に近寄っていいかい?

俺はツナマヨのおにぎりを食べながら、だいぶ暖かくなってきたから梅干しなどの殺菌作用がある具が良かったかな?なんて思っていると、知らぬ間におっさんが横に立っていた。

 

裏手は林になってはいたが見通しが悪いと言うほどではなかったので、このおっさんはどこから沸いたんだ?と物凄く驚いた。

 

だが、真昼間だし寒気なども感じない。

 

幽霊の類とは思いもせず、きっと地元の人だろうと思い「こんにちわ」と挨拶をした。

 

すると、おっさんはこちらを見ながら「その石に近寄っていいかい?」と聞いてきた。

 

意味はよく分からなかったが、もしかすると地元では大切な石なのかもしれない。

 

椅子にしてまずかったかな・・・と思い、俺は「すいません」と言ってその石から立ち上がった。

 

そして、おっさんは石の近くに近寄るや、こう言った。

 

「僕は死んだんだ」

 

またしても意味が分からなかった。

 

おっさんの姿ははっきりと見えるし、幽霊のような怖さも無く、それに真昼間の晴天で少し暑いくらいだった。

 

その時に俺の頭によぎったのは、社会的に死んで自殺をしようとしている人なのかな?というイメージだった。

 

だが、そう言われて俺は何を話して良いのか分からず、ただ立ち尽くしていた。

 

続けておっさんは、「死んで分かったのは、水辺や特定の石の近くだと意識がはっきりするんだけど、そこから離れると何も考えれなくなって消えそうになる。それが怖いんだ」と言って、石の側の木を一周ぐるりと回ろうとして木の陰に隠れて消えた。

 

結局、おっさんが何を伝えたかったのかさっぱり分からなかったし、怖い感じも無かったが、とりあえず俺は急いで逃げ帰ってきた。

 

(終)

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