怖がらんでいい、あれは可哀相な人なんや

部屋の隅

 

我が家は結構古い家柄。

 

墓は室町末期(西暦1500年代)の頃のものが残っている。

 

私は中学生の頃に、ふと墓石に刻まれた『享年○○才』の文字を見てゾッとしたことがある。

 

なぜなら、代々の跡継ぎは必ず二度お嫁さんをもらっていて、しかも最初のお嫁さんは皆若くして亡くなっていたからだ。

 

ちなみに二度目の奥さんは、皆それなりのお歳で亡くなられていた。

 

そして去年、お寺さんの供養帳を見ると、祖父の前の代までそれが続いていたことが分かった。

 

前の代、つまり私のひいおじいさんの最初の奥さんは、井戸に飛び込んで自死なさったそうだ。

 

代々の流れを断ち切ったのは、今年の夏に亡くなった祖母だった。

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代々のお嫁さんの早死にの原因は?

祖母は祖父のただ一人の奥さんで、95歳で大往生した。

 

先日、その祖母の位牌を拝んでいると、ふと思い出したことがある。

 

私が四歳の頃、祖母と一緒に囲炉裏端(いろりばた)で遊んでいると、部屋の隅の方から嫌な感じがするニオイがしてきた。

 

そちらを見た次の瞬間、私は火がついたように泣き叫び、祖母にしがみ付いていた。

 

まだ幼かった為に記憶が定かではないが、着物を着たざんばら髪の女の人がこちらを見ていた。

 

その女の人は凄く怖い顔をしていたと思うが、怖すぎたせいか、よく思い出せない。

 

ただ、祖母が私の背中をなでてくれながら、「怖がらんでいい、あれは可哀相な人なんや」と言っていたことは覚えている。

 

祖母はにっこりと笑うと、深々とその女の人に向かって手を合わせて頭を下げていた。

 

これは私の勝手な想像だが、もしかしたら代々のお嫁さんの早死には、あの女の人が関わっていたのではないだろうか?

 

祖母がその難を逃れたのは、信心深く優しい性格のおかげだったのかもしれない。

 

(終)

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