ばくち打ちが果てる山
これは、知り合いの話。
彼の地元には、かつて風葬地として使われていた山があるそうだ。
近くに賭場が立っていた宿場町もあったそうで、賭け事のいざこざで亡くなった人の死体もよく野晒しにされていたと言われている。
いつの頃からか、この山で野宿をすると、夜中にある音が聞こえてくるようになった。
カラカラ・・・という、サイコロを振る音が。
伝わるところによれば、音の正体を確かめてやろうと、夜の山に登ったばくち打ちが何人もいたそうだ。
だが、いずれも次の朝には死んでいるのが見つかったという。
何故か、死に顔は満足そうに笑っていたそうだが。
地の者達には『博徒の果てる山』などと呼ばれて、大層気味悪がられたらしい。
※博徒(ばくと)
賭博を常習とする者、または賭博をもって業となす者。
現在は街道からも外れてしまい、近寄る者もいないのだという。
(終)
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