いつもいつもすみませんね
ほんのりと怖く、そして不思議だった話。
この前の日曜日、妻と二人でホームセンターに行った。
到着するや、車から降りて店の出入り口に向かう途中、台車に乗せた荷物を車の荷台に載せようとしているお爺ちゃんがいた。
「よーっこらせ!!」と、かけ声をかけて持ち上げている。
が、重さに耐え切れないらしく台車に戻す。
その横で、お婆ちゃんがそれを見守っていた。
よく夢に出てきたお婆ちゃん!?
1袋20kgだったか、それはセメントだった。
それが2袋。
それを見た俺は、代わりに荷台に積んであげた。
そして1袋目を積み込む際に、お婆ちゃんが「いつもいつもすみませんね」と言った。
いや、俺は店員じゃないから、とちょっと可笑しくなりながら2袋を積み終えて店内へ向かう。
妻に、「あのお婆ちゃん、俺のことを店員さんだと思ったのかな。こんな格好(普段着)してるのに」と言ったら、妻が少し間をおいて、「あの人、○○(俺)がよく夢に出てきたって言ってたお婆ちゃんみたいだったね」と、ちょっと強張った顔で答えた。
夢に出てくるお婆ちゃんは、額の真ん中にホクロがあり、俺のイメージではウルトラ警備隊みたいな変わったブローチのようなバッジのようなものを付けている。
それにシチュエーションは毎回違って、地下鉄のようなところから道路に出る階段だったり、船に乗るところだったり、横断歩道を渡るところだったり。
しかし必ずお婆ちゃんは荷物を持っていて、俺がそれを持ってあげている。
これまでも、「この前に話したお婆ちゃん、また夢に出てきたよ」というのを何回も妻に話していて、お婆ちゃんの姿形をよく妻に説明していた。
こんなに何回も夢に出てくるのは、もしかすると「子供の頃に何度も顔を見ていた近所のお婆ちゃんか、親戚のお婆ちゃんなのかなあ?」みたいな話も妻としていた。
ホームセンターで出会ったその時、俺はお爺ちゃんもお婆ちゃんもろくに見ていなかったので気づかなかったが、妻が言うには、そのお婆ちゃんは俺が説明した感じを妻なりにイメージした姿そのものだったらしい。
それを聞いた時、「いつもいつもすみませんね」という言葉を思い出して、ちょっと複雑な気持ちになり、ほんのりと怖かった。
(終)