金運を呼び込んだ金の蛙の置物
小学生の頃に『金の蛙の置物』を拾った話をしよう。
それは、高さ1~2センチ程の小さな金の蛙だった。
今思うと金メッキされいてたのかもしれないが、大きさの割には随分とずっしりしていたのは覚えている。
ある日に親戚の家へ行った時、その家の周りを一人で散歩していたら、ブロック塀の上に鎮座していたので拾ったのだ。
それを家に持ち帰り、居間の窓際にあるコンポの上に置いておいたのだが、それから不思議と色んな親戚からお小遣いを貰うなどが続き、やたらとお金が入ってきた。
「ラッキー♪」と思ったが、なんとなく「あの金の蛙のおかげかなぁ?」とも思った。
なので、褒美に綺麗に拭いてあげようと思ったら、なぜか居なくなっていた。
家族に金の蛙について聞いてみても、「そんなのなかった」と言われる始末。
思い返すと、拾ってから家に帰るまで、金の蛙を拾ったと家族や親戚には何回も言ったが、それを見せようとすると『俺が落とす→探すけど見つからない→見つかったらまた見せてね→相手が去った直後に見つかる』という事が起きていた。
又は、相手が忙しくて「あーはいはい、後で見せてね」という感じに。
親戚の家の周辺で拾ったその金の蛙は、自分の家の居間に飾るまでは結構堂々と弄っていたにもかかわらず、俺以外の誰も見ていない。
そんなわけで、あの幸運の金の蛙は俺以外の誰にも認識されることなく訪れ、そして去ってしまった。
今も誰かを幸運にしているのだろうか。
もう一度見つける事があれば、今度は幸運は要らないのでお礼にちゃんと拭いてやりたい。
(終)