未来が見える幼なじみ
幼馴染みのKくんはとても勘が良く、
まるで霊視を持っているかのように、
過去・現在・未来の物事を当てることが出来ます。
私の両親が気味悪く思うほど、
Kくんの勘はよく当たりました。
私は今は身長160センチですが、
小学校低学年の頃は110センチもなく、
背が低いことが悩みでした。
そんな私にKくんはこう言いました。
「大丈夫。Nちゃん(私)は、将来Nちゃんの
お母さんと同じくらい背が高くなるよ」と。
私にはKくんの他にもう一人、Tくんという
幼馴染みがいました。
Tくんはいつも背の低い私に対して、
「チ~ビ、チビ」と、からかっていました。
私はKくんに、
『将来はお母さんほど背が高くなる』
と言われたことが嬉しくて、そのことを
Tくんに話しました。
するとTくんは、
「俺はNよりも、もっと高くなるぞ。
俺は何センチになるんだろう」
と言いました。
KくんとTくんは知り合いではなかったけど、
私はKくんにTくんの写真を見せて、
「Tくんは将来、
身長何センチになるかな?」
と聞きました。
するとKくんは、
「こいつは、130センチ位かなぁ」
と言いました。
Tくんは今でも120センチを
とっくに越えているし、
大人になっても130センチだなんて
あるわけない・・・と、
そのことはすっかり忘れていました。
その後、Tくんは神戸に引っ越しました。
数ヵ月も経たずして、
阪神淡路大震災が起こりました。
Tくんはこの地震で亡くなりました。
Tくんのお母さんに聞くと、Tくんの身長は
130センチだったそうです。
死の意味なんて分からないけど、
Tくんはもう大きくなれないんだと思うと
涙が止まりませんでした。
あれから12年。
私はTくんより30センチも背が高くなったよ。
今はね、お母さんと同じ身長で160センチです。
私より大きくなったTくんに会いたかったな・・・
(終)