歯科助手が教えてくれた謎の感触の正体
これは、歯医者に行った時の体験話。
その日は徹夜明けで、ボケーっとしたまま歯医者に行った。
親知らずの抜歯のために最初に麻酔をしたのだが、麻酔が効くまでの少しの時間にウトウトして寝てしまった。
すると突然、顔にベチャッと冷たいものが乗っかり、驚いて反射的にそれを掴んでいた。
感触的に、明らかに『人の手』だった。
子供とか女の人みたいな、小さくて華奢な感じの手。
歯科助手のお姉さんの手だと思い、「あっ、すみません!」とパッと手を離して体を起こしたら、誰も周りにいなかった。
俺の声に驚いたのか、隣の衝立から歯科助手のお姉さんが出てきて、「どうされました?」と聞いてきた。
返事に困っていると先生までやって来て、心配そうに「大丈夫?」と聞いてくる。
「すみません。ちょっと寝ちゃって…。寝ぼけたみたいです」と言うと、2人とも「何だあ~」と笑っていた。
それから1ヶ月後の、最後の通院日のこと。
帰る時に歯科助手のお姉さんが、「じゃあ次は半年後の定期検診ですね。お大事に」と言われ、「はい、ありがとうございました」と言ったところで、急に顔を寄せてきた。
そして耳元で、「前に大きな声を出された時に寝ぼけたとおっしゃってましたけど、本当は見たんですよね?」と。
「えっ?」と返事に困っていると、「ちょっと見た目は怖いですけど害は無いので、また来てくださいね」と笑顔で言われた。
見てはいないが、何か居るのか…。
(終)