通り魔事件が多発しているらしい
仕事が休みで暇だったので、
友人へ電話した。
「よう!久しぶり!」
『久しぶり・・・
ゴホ!ゴホっ!』
「どうした?風邪か?」
『ああ、悪性のインフルらしい。
今、家で寝てるとこ』
「インフルかよ、物騒だな。
気をつけろよ」
『ほんと最近は物騒だよ。
うちの近所で通り魔事件が
多発しているらしいし』
「何だそれ?」
『ああ、なんでも、
突然部屋に入ってきて、
後ろからロープで首をギュッ、
といくらしいわ』
「何それ?
気付くだろ普通。
まあ、俺なら即返り討ちに
してやるけどな」
『返り討ち?言うねー、
そんなマジキチ相手に?』
「余裕っしょ!」
『マジでかー。
でさ・・・ゴっ!ごほっ!
ゴホっ!ごほっ!!』
「おいおい大丈夫かよ?」
『・・・わりい、
大丈夫、大丈夫。
風邪ひどくなってきた』
「大丈夫か?
声変わってんぞ」
『ああ・・・
ところで今度お前んちに
行きたいんだけどさ。
道教えてくんない?』
「おいおい。
何回も来たことあるだろ(笑)」
『忘れちまった。
住所教えてくれたら行くよ』
「しょうがねえーな。
X町Y番地のZマンション205号な。
もう忘れんなよ」
『わかった。今度必ず行く』
「じゃ、安静にな」
『ああ』
(終)
解説
途中、咳が酷くなったところで、
友人は通り魔に絞殺された。
そのあとに語り手の俺と話しているのは、
通り魔の犯人である。
住所を聞いた通り魔はもちろん・・・