取り締まりで停止させた車には

国道258号標識

 

スピード違反を取り締まっていた巡査は、

やたら速度の遅い車を発見し、

 

かえって危険なため停止させた。

 

中には80歳くらいの女性が

5人乗っていたが、

 

運転していた老婆以外は、

 

皆が目を見開き、

真っ青な顔色をしていた。

 

運転席の老婆は、

不思議そうに尋ねた。

 

「お巡りさん、

 

あたしはいつも標識どおりの

速度で走ってますよ。

 

今だって標識どおりの21キロで

走ってたんですから」

 

巡査は事情を理解し、

微笑みながら言った。

 

「お婆さん、

 

あの標識の『21』というのは、

国道21号線という意味ですよ。

 

ここの道路の名称なんです」

 

その言葉を聞き、

老婆は恥ずかしそうに答えた。

 

「あれま、そうでしたか。

それは失礼しました」

 

さらに巡査は、

 

運転に気をつけるように言ってから、

一つ気になっていることを口にした。

 

「なぜ他の4人の方々は、

さっきから一言も喋らないのですか?

 

それに、何だか4人全員が

放心状態のように見えますが・・・」

 

すると、

運転席の老婆が答えた。

 

「さっきまではみんなで楽しく

お喋りしてたんですけどねえ。

 

国道258号線に入るまでは」

 

(終)

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解説

国道番号の標識を、

速度制限と勘違いしていた老婆。

 

国道258号に入ったということは、

なんと258キロで走っていた・・・。

 

他の4人が放心状態になるわけだ。

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