元カノと3年ぶりの再会
彼女とショッピングで
街を歩いていたら、
前から小さな女の子の手を引いた
女性が歩いてきた。
近づいて来た時、
それが誰だか気づいた・・・
俺が3年ほど前まで
付き合っていた女だ。
そして今思えば、
酷い振り方をして別れた。
元カノは俺にニッコリ微笑んで
会釈してきたので、
彼女が「誰?」と、
怪訝そうな顔をする。
俺はとっさに、
「前、うちの会社にいた
○○さんだよ。
いやあ久しぶりだねえ」
と言った。
(これは嘘じゃない)
彼女は、
「そうなんですか、
こんにちは~」
と言って、
気を利かせたのか、
「ちょっとあそこの洋服
見てくるね」
とその場を離れた。
「やあ・・・久しぶりだね。
結婚したんだ・・・」
「ええ、
貴方に振られちゃったから、
一年前にね・・・。
こんな私でも良いって
言ってくれる人がいたのよ」
「こんな私なんて言うなよ・・・。
君は充分魅力的だし、
俺が未熟だっただけで」
「もお~、
そんなこと言わないで。
でもこんな私が結婚出来るなんて、
本当に思っていなかったのよ」
「そう?あ、いや・・・ゴメン、
子供の前でこんな話しちゃって」
「いいのよ、でも可愛いでしょ?
だから私とっても幸せなの」
「ああ、そうだね。
今の君は本当に幸せそうだし、
安心したよ」
「本当にそう思う?」
元カノはそう言うと、
フフフと微笑んで小さな声で・・・
「じゃ、またね」
と言って去って行った。
彼女が戻ってきて、
「綺麗な人ね・・・。
ひょっとして昔好きだったとか?」
と言って、
俺を試すような目で見た。
「なに馬鹿なこと言ってんの」
俺は努めて冷静にそう言って、
彼女の手を握った。
(終)
解説
元カノと別れたのが3年前。
小さな女の子の手を引いて
歩いてきたという描写から、
歩けるほどの女の子がいるとしたら、
現在の夫との子供ではなく、
元カレの「俺」との子供である。