痴漢の現場

 

先日、

大学へ行くために、

 

通勤ラッシュの満員電車に乗って

痴漢していたら、

 

隣に立っていた女子高生が

なにやら騒ぎ始めた。

 

「この人に痴漢されました!」

 

一瞬、

俺の事かと思ったが、

 

どうやら俺の隣にいた、

 

40代くらいの威風堂々とした

男性の事らしい。

 

俺はその男性が

慌てふためくと予想したが、

 

落ちついて言った。

 

「私の事か?」

 

女子高生は、

 

「そうよ、絶対触ってたでしょ!」

 

と言ったが男性は冷静に、

 

「お前みたいな高校生風情が

この私に罪を被せられるのなら、

 

喚くだけ喚け。

 

私は抵抗もしないし、

なんなら次の駅で一緒に降りてやる」

 

女子高生は男性の態度に

畏縮した様子だ。

 

「良いことを教えといてやる。

 

私の胸のバッチが見えるか?

弁護士バッチだ!

 

これは社会的信頼の証だから、

 

着けておくだけでお前の戯言なんて

誰も相手にしなくなる」

 

さらに男性は続けた。

 

「言っとくが、

私の無実が証明されたら、

 

お前は私を騙そうとした

ことになるからな。

 

悪意がなくても、

名誉棄損になる。

 

まず退学は間違いない」

 

女子高生は降参した様子で

すいませんでしたと言ったが、

 

男性は間髪入れず、

 

「許さん。次の駅で降りろ」

 

と言った。

 

本当に次の駅で、

 

男性は女子高生を降ろさせ

去って行った。

 

後の顛末は知らないけど、

悲惨だったのは女子高生の方だろう。

 

(終)

解説

弁護士が痴漢したのか?

それとも女子高生の勘違いなのか?

 

冒頭にさらっと書いてあるが、

語り手が痴漢の犯人である。

 

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One Response to “痴漢の現場”

  1. 匿名 より:

    この弁護士本物なんだろうか?

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