一人で百物語をしていたら

覗く女

 

五年前の夏、私は一人で『百物語』をしていた。

 

※百物語

夜、数人が集まって順番に怪談を語り合う遊び。ろうそくを百本立てておいて、一話終わるごとに一本ずつ消していき、百番目が終わって真っ暗になったとき、化け物が現れるとされたもの。(コトバンクより)

 

厳密に言うと、夏休みの自由レポートにして提出する予定だった。

 

都市伝説を含め、怖い話の移り変わりや流行を追ったら面白いと思ったのだ。

 

なので、本やネット、友人達からと、あちこちから怪奇談を集めていた。

 

三十話集まった日、ペットのハムスターが一匹死んだ。

 

泣きながら庭に埋めた。

 

四十話集まった日、またハムスターが死んだ。

 

また泣きながら庭に埋めた。

 

六十五話集まった頃から、誰もいない風呂場から女のすすり泣きが聞こえるようになった。

 

まだ偶然だと思っていた。

 

・・・が、ある日、弟が言った。

 

「あのさ、笑わないで聞いてくれよ。風呂場から女の声がしないか?」

 

私は一人百物語をやめた。

 

途端にぴたりと女のすすり泣きはやみ、ハムスターは死ななくなった。

 

夏休みが明け、私は友人達に言われた。

 

「あんた、顔が死人みたいな色だよ」

 

(終)

スポンサーリンク

あなたにオススメの記事


One Response to “一人で百物語をしていたら”

  1. 匿名 より:

    何が怖いって、表示された画像が怖いよ…

コメントを残す

CAPTCHA


スポンサーリンク
サブコンテンツ

月別の投稿表示

カレンダー

2024年3月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

【特集】過去の年間ランキング

(2022年1月~12月)に投稿した話の中で、閲覧数の多かったものを厳選して『20話』ピックアップ!
【特集】2022年・怖い話ランキング20
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
アクセスランキング

このページの先頭へ