心霊スポットの空き家へ行った翌日に
これは、たった今、俺の身に起こった話だ。
俺は昨日、友達の家へ泊まりに行っていた。
男ばかり5人でむさ苦しく、真冬のホラー鑑賞会をやっていた。
そして、この友達の家から車で30分くらいの所には心霊スポットがある。
地元だとそこそこ有名な場所だ。
何が出るのかは、とりあえず『何か得体の知れないモノがいる』とだけ。
ホラー鑑賞会の後、みんなでソコへ行ってみた。
塩かけ姉ちゃん
所詮、尾ヒレ背ヒレが付いただけの、どこにでもあるような古い空き家だった。
もちろん何も出なかったし、ただ薄気味悪いだけだった。
その後に帰宅したのだが、珍しく平日休みになった姉ちゃんがいた。
そして「ただいま」と言う前に、いきなり俺は殴られた。
何でだ!?
姉ちゃんは、「お前、昨日どこ行った?変なとこ行っただろ!何くっ付けて来てんだよ!」と怒鳴る。
確かに、心霊スポットと言われている空き家には行ったが、何も無かったし、眉唾だし、所詮ただの噂だし・・・。
そんな言い訳をしていたら、姉ちゃんは台所から粗塩を持って来て、容赦なく俺にぶっかけてきた。
砂かけババアならぬ、塩かけ姉ちゃんだ。
さらに、神棚の線香立ての灰を溶かした日本酒を飲まされて、酒に浸した榊でぶっ叩かれ、パンツ一丁にされた挙句、庭に追い出されて酒をぶっかけられた。
※榊(サカキ)
木に神と書いて「榊」と言われるほど、神道において神と深い関わりのある神聖な植物。
今、真冬だ。
俺の家は、やや東北にある。
そう、クソ寒いのだ。
それなのに、冷たい日本酒を遠慮なくぶっかけてくる。
死ぬかと思った。
一通りの除霊が終わったのか、姉ちゃんは「これで落ちてなきゃ明日に神社でも寺でも行って来い。うぜぇ」と呆れ果てる。
俺には全く自覚はないのだが、姉ちゃんには一体何が見えたんだろうか。
一体、俺は何を背負っているんだ?
もしこれが姉ちゃんのいつもの悪ふざけだったら全力で怒るが・・・。
(終)