その笑い声の主は落ち葉

落ち葉

 

これは、田舎で同級生から聞いた話。

 

彼は中学の時、自転車で通学をしていたという。

 

ある晩秋の朝、いつも通っている道に落ち葉が降り積もっていた。

 

朝露で濡れていた為に滑りやすく、少しでも下手にハンドルを切るとズルっと滑り、何度かコケそうになったそうで。

 

しかし、その感覚が楽しく、彼は何度もスピードに乗った状態でブレーキをかけたりして遊んでいた。

 

何度目かの時、ついに滑ってコケてしまった。

 

派手に転倒し、「イテテ・・・」と起き上がった彼が自転車を起こしていると、「クスクス。情けないなあ」と笑い声のようなものが聞こえた。

 

「誰かいるのか?」と聞き耳を立てていると、声は地面から聞こえる。

 

よく耳を澄ますと、落ち葉が喋っているようだった。

 

気味が悪くなった彼は再び自転車に跨ると、全速力で逃げたそうで。

 

その日の帰り道、同じ道を通ってみたが、あれだけあった落ち葉が一枚も無くなっていた。

 

気味が悪くなった彼は、また全速力で走り抜けたそうで。

 

「葉っぱが一枚も無かった時の方がゾクっとしたけどね」

 

そう言って笑っていた。

 

(終)

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