早朝に絆創膏をもらいに来た男の子
うちのダンナは、仕事柄、
かなり朝早く起きて出勤する。
大体5時には一緒に起きて、
私は朝ごはんの支度を、
ダンナは出勤の支度をする。
眠い目を擦って台所に立ち、
ダンナが洗面所で顔を
洗っている音が聞こえた。
と、突然、
インターホンが鳴って
覗き窓から見てみると、
見た事もない小学校低学年
くらいの男の子が、
ランドセルを背負い、
黄色い学帽を被って
立っていた。
「誰?どうしたの?」
って聞くと、
その男の子は、
「ママがケガしちゃったから
絆創膏ちょうだい」
って言ってきた。
どこの子だろう?って
思いながら台所に戻り、
救急箱から絆創膏の
箱を取って玄関に。
ドアを開ける前に、
「ねぇ~、どこの子?」
と聞きながらサンダルを
つっかけていると、
その子、
「僕のママ、
血がいっぱい出ているの」
と言う。
じゃあ、絆創膏じゃ
間に合わないんじゃない?
と思いながら、
「どうやってケガしちゃったの?」
と聞くと、
「ママ、血がいっぱい出て、
動かなくなっちゃったの。
早くここのドア開けてよ・・・」
って。
なんか恐くてヤバい!
と思って、
「うちはダメ!
どっか他所に行って!」
と言うと、
ドアを凄い勢いで
蹴った音がして、
静かになった。
ドキドキしながら
覗き窓を覗くと、
男の子が外側の覗き窓の
高さまでよじ登って、
反対にこっちを覗いて
ニヤニヤしている。
ゾッとして後ろに下がって・・・
と、そこで目が覚めた。
心臓がまだドキドキしている。
ダンナが、
「あれ?また寝てたの?」
と言いながら、
洗面所から部屋に
戻ってきた。
ホッとしたら、
起きてご飯を作らなくちゃと思って
布団を出ようとした時、
右手に絆創膏の箱を
持っていた。
あれ?と思っていると
ダンナが、
「さっき、お前玄関に居て
なんか騒いでいたから、
どうしたのか聞こうと
思ってたんだよ。
なんか、ドアとか
蹴られてたろ?」
・・・って。
(終)