免許を取って念願の心霊スポットへ

 

怖い話は大好きなんだけど、

心霊スポットには行ったことがない。

 

というのも、

地元に心霊スポットが無かったからだ。

 

そして、去年の秋。

 

俺も友達も免許を取ったので、

念願の心霊スポットへ行くことにした。

 

友達は怖がりなのだが、

初ドライブだと騙して同行させた。

 

俺は埼玉の田舎の方に住んでいるが、

 

調べると『川越街道』という場所が

一番近いということだった。

 

ウエディングドレス姿の女が、

現れるとか現れないとか･･･

 

つまんなそうな場所だったが、

 

まあ心霊スポット初体験だし、

これくらいでもいいか、

 

と思って出発。

 

出発してから、

 

ようやく友達に心霊スポットへ

向かっていることを告げる。

 

すると、もの凄い反発。（笑）

 

友「霊を持って帰ってきたら

死んじゃうんだぜ！」

 

と小学生みたいな怒り方。

 

絶対に大したことないから、

と言っても納得せず、

 

俺「じゃあ、連れて帰っちゃったら

御祓いも一緒してやる」

 

という方向でどうにか落ち着いた。

 

そこから2時間弱。

 

初ドライブということもあり、

 

迷ったりしながらも、

どうにか目的の場所付近に到着。

 

時間は夜11時頃。

 

運転席には俺、

友達は助手席で地図係り。

 

友「で、どの辺だって？」

 

俺「歩道橋ある所とか歩道とか

言ってたかなあ」

 

などと話しながら川越街道を通るも、

何も見えないまま通り過ぎる。

 

何もなかった結果と、

友達の喜ぶ姿も気に食わないので、

 

車をUターンさせて、

もう一回ゆっくり通ることに。

 

特に後ろにも車は無かったので、

 

サファリパークを進むくらいの

遅い速度でゆっくり進みながら、

 

歩道橋の辺りに差し掛かる。

 

もちろん何も見えるはずなく、

また通り過ぎる。

 

俺「くそー！」

 

と悔しがる俺の隣で、

友達が不意に言った。

 

友「･･･ここって、

 

ウエディングドレス姿の女が

出るんだっけ？」

 

俺「らしいよ。出ねえけど（笑）」

 

友「じゃあさ、

 

さっきからあそこの歩道橋の上から

こっちを見下ろしてるおじさん･･･

 

関係無いよね？」

 

俺「はぁ？」

 

二回も通ったうえに、

 

二回目はゆっくり通ったにも関わらず、

俺はそのおじさんに気づかなかった。

 

俺「居たか、そんなの？」

 

友「居たよ。居たと･･･思う」

 

そう言いながら、

明らかに真っ青になる友達。

 

このままじゃスッキリしないということで、

またUターンして確認しようという話に。

 

さっき以上のスローペースで車を走らせ、

問題の歩道橋まで来た。

 

･･･が、

おじさんなんて居ない。

 

俺「居ないじゃねえか」

 

友「うん。居ないね」

 

そのままのろのろと、

歩道橋の真下を通った時･･･

 

ぼっこん。

 

車の後輪が何かに乗り上げたみたいに

浮き上がった。

 

俺はとっさに「何か轢いたのかも」と、

車を止めて外に出た。

 

友達も半泣きに近い表情で、

一緒に外に出る。

 

二人して車の後ろや下を覗き込むも、

何もない。

 

顔を見合わせて

二人で怖がっているところに、

 

『ぴぃ～』

 

と、上から口笛の音が聞こえた。

 

俺たちは車に急いで乗り込むと、

そのまま急発進させた。

 

二人して何も言えないまま

10分ほど走った頃、

 

ふいに友達が言った。

 

友「最後、急発進させた時、

あいつ･･･手を振ってたよ･･･」

 

<以下、後日談>

 

俺「手を振ってたのなら

憑いて来てないだろ」

 

という俺の持論も信じず、

 

怖がりの友達がどうしても御祓いを

してもらうと言って聞かない。

 

仕方なく･･･

父方の実家に霊感が強く、

 

御祓いまでやってくれる人が

居るということで、

 

その人の所へ行った。

 

一通りの御祓いを済ませた後、

その人に、

 

「面白半分で心霊スポットに行くと、

別の霊まで呼んじゃうんですかね」

 

と言ったら、

 

「･･･違う。

 

これはどっちかが最初から

背負っていた霊だよ」

 

と言われました。

 

その後、友達には、

 

次はトンネルとか廃病院とかに行こうぜ！

と誘っていますが、

 

まだ良い返事はもらえていません。

 

（終）