カクカクに遭遇した友人の体験談

田んぼ

 

私の友人(以下、K)が5年前、

 

そこへ引っ越したばかりの頃に

『カクカク』に遭遇した話です。

 

(友人が勝手にカクカクと呼んでいる)

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忘れられない恐怖を体験することに・・・

ある晩のこと。

 

Kはコンビニへ夜食を買いに、

徒歩で向かっていました。

 

Kの家からコンビニまでは約500m。

 

しかし、この500mというのは、

 

田んぼの周りを大回りするように

道が出来ているためであって、

 

仮に田んぼの中を通って行くと、

かなり近道になるらしく、

 

Kはいつも田んぼ道を歩いていました。

 

田んぼ道には約30mおきに電灯があり、

電灯と電灯の間は結構暗いそうです。

 

Kはそこを通っていると

少し先の電灯の下に、

 

白のワンピースを着た髪の長い女性が

前を向いて立っていました。

 

不思議に思ったKは彼女に話かけようと

近づこうとした瞬間、

 

全ての電灯が消えました。

 

一瞬辺りが真っ暗になり、

どうしたんだと思ったものの、

 

すぐに電灯は点き、

そこには彼女が居なくなっていました。

 

少し変だと思ったKでしたが、

 

きっと見間違いだろうと、

また歩き出しました。

 

・・・が、その時に後ろから

強い視線を感じて振り返ると、

 

なんと彼女が後ろの電灯の下に、

笑いながら立っていました。

 

それを見たKは、

 

「なんだ?

どうして彼女が俺の後ろに?

 

おかしい・・・

 

あの一瞬の間に、

俺の後ろの電灯まで移動したのか?

 

有り得ない。

 

それに、ここは砂利道。

 

なんの音も立てないで、

どうやって移動したんだ?」

 

などと色々考えていると、

 

突然彼女がこちらを指差しながら、

首をカクカクと横に振り始めました。

 

これはマジでヤバイと思ったKは、

コンビニに向かって走り出しました。

 

自分の後ろの帰路には彼女がいた為、

通れなかったのです。

 

Kは、こう考えました。

 

「とりあえずコンビニに行って、

しばらくしてから普通の道で帰ろう」

 

そう思いながら走っていると、

また全ての電灯が消えました。

 

「なんだ!?どうなってるんだ?

今度はすぐに点かないじゃないか!」

 

焦ったKは、

暗くなった砂利道を走りました。

 

ほとんど何も見えない状態。

 

その時、Kは誤って足を踏み外し、

田んぼに落ちてしまいました。

 

さらに焦るK。

 

しかし、

なかなか足が抜けない。

 

なんとか足が抜けたものの、

なぜか足が異様に重い。

 

足元を見てみると、

青白い手が足を掴んでいました。

 

狂いそうになるK。

 

そんな事はお構いなしに、

田んぼに引きずり込もうとする青白い手。

 

それでもなんとか手を振り払い、

コンビニに辿り着きました。

 

コンビニに着いたKはしばらくして、

さっきの出来事を思い出しました。

 

「そうだ。きっとあれは幻覚だ。

全て夢だ。そうに決まってる」

 

自分にそう言い聞かせ、

無理にでも落ち着こうとするK。

 

その姿を見た店員が、

さらに追い討ちをかけました。

 

「あの・・・

その足どうしたんですか?

 

泥だらけのうえに、

手形みたいなの付いてません?」

 

唖然とするK。

 

もう帰りますと店員に言い、

普通の道を使って帰宅している途中、

 

またワンピースの女性が立っていました。

 

足が震えて動けないK。

 

というより、

身体が思うように動かない。

 

彼女はまたこちらを指差すと、

 

首をカクカクと動かしながら

こちらに向かって来ていました。

 

こちらを指差しているその手は、

 

まるで何かに殴られたようなアザが

たくさん出来ていました。

 

あと5mまで近づいたところで、

彼女は「どうしてくれるの?」と一言。

 

声にならない悲鳴を上げたK。

 

とうとう目の前までやって来た彼女は、

Kに向かってぽつりと呟く。

 

「おかえし」

 

そう告げると目をくわっと開き、

 

笑うように口を大きく開けながら

消えていきました。

 

その後も5分ほど動けなかったものの、

やっと身体の自由が利くようになりました。

 

そして、

なんとか無事に帰宅できました。

 

その時はすごく疲れていたのか、

すぐに眠ってしまったようです。

 

翌日に起きると、

なぜだか腕が痛む。

 

なんだ?と自分の腕を見ると、

腕がアザだらけになっていたそうです。

 

(終)

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