少し古びたカラオケ屋

彼女と2人でドライブをしていた時の話。

 

夏で暑かったので、

とにかくどこでもいいから早く店に入ろう

ってことになった。

 

それで、少し古びたカラオケ屋が

空いていたので入っていった。

 

入った瞬間、モワァァァァと

熱い空気が充満していて、

クーラー効いてないのかよ、と思った。

 

彼女と顔を見合わせてたら、

ボディコンを着た、前髪ちびまる子ちゃん風の

不細工なネエチャンが、

無言でトレイを持って立っていた。

 

小さなダミ声で「コチラヘドウゾ」って

言ったので付いて行ったら・・・。

 

迷路のように曲がったり、まっすぐ進んだり、

かなり長い間、3人で店の中を歩いていた。

 

その時、俺と彼女は、

ドア越しに色んな部屋を覗いたが、

全然ほかにお客がいなかった。

 

やっと部屋に着いて「ゴチュウモンハ?」

って女が言ったので、

気分転換に食おうって話になり、

焼きそばとコーラを頼んだ。

 

曲を選ぼうと本を見た彼女が、

「えっ!!何これ。

古い曲ばっかしかないじゃん。

アムロも、ともちゃんもないよ」

って言って、俺を見た。

 

俺がよく見てみると、

昭和時代の百恵ちゃんやキャンディーズが

あって、「これ知ってるから俺歌うよ」

って言って、曲が始まった。

 

しかし、その画面に出てきた映像が、

なんと白黒で戦争とか・・・。

 

「えっ、ここのカラオケってなんなの?!」

って彼女とビビリ始めた瞬間、

 

バンッッッ!!!

 

あの気味悪い女が入ってきて、

無言でコーラと焼きそばを置いて行った。

 

俺がコーラ、彼女が焼きそばを食った瞬間、

2人とも吐いた。

 

「何、これっ、この焼きそば、

カビ臭いっっ!」

 

俺はコーラがめちゃくちゃ熱かった。

別にネコ舌ではない。

 

「おいおい、ここヤベーヨ。出よう」って言って、

先ほどの長く歩いた道のりを戻った。

 

その道のりが長くて、ますます暑い。

モワァァァじゃなくて、ブォォォォって感じだ。

身体から湯気が立つくらいに。

 

とにかくここを出なければと

俺は思っていたが、

彼女の方がダウンしてしまって

おんぶして歩いた。

 

やっと、非常口の緑色の明かりが

見えたので、そこのドアを思いっきり開けて

出てみたら、どこかの線路の隣で

「俺たち、今どこから出たんだ?」

と思って後ろを振り向いたら、

古くさいコンテナがあった。

 

「おい、あんたらそこで何してんの?」

って、作業服を着たおじさんが

話しかけてきた。

 

「あんたらここで遊んじゃだめだよ。

たまにこのコンテナがラブホテルだと思って

カップルがやって来るんだけどさ、

真夏なんて50度以上になるんだから。

この前もここで2人の白骨死体が

見つかったんだよ」

って言われた。

 

俺はもう呆然として、

彼女は泣きじゃくって大変だった。

 

(終)

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