幸せな未来を予言する訪問者
私にとっては凄く怖い話。
小学校から中学2年生頃の生活はドン底で、継母には毎日殴る蹴るをされ、食事も貰えず、実父は浮気三昧で帰って来ないし、電気ガス水道は全部止められ、継母の実子ではない私は奴隷同然の生活だった。
そんな時に百科事典のセールスレディみたいな人が家に来て、外面だけは素晴らしい継母が対応していた。
継母の実子はまだ幼児だったし、私のことを継母が自ら他人に言うわけないから、なぜ呼ばれたのかは分らない。
継母に呼ばれて玄関先に行ってみると、その女の人が来ていたという感じだった。
嬉しいけれど、やっぱり怖い・・・
その50代くらいの女の人が私を見るなり「手を出して」と言ったので、どちらの手かは忘れたけれど手を出したんだと思う。
モジモジしていたら継母に殴られると思ったし・・・。
その女の人は手相を見ていたんだと思うけれど、「この子は今がドン底。これからどんどん良くなる。きちんと歳をとって死ぬ間際が一番幸せな子だよ」と言った。
それはすごく覚えている。
でも、その時の私にとっては気が気じゃなかった。
こんなこと言われたら後で絶対にボコボコに殴られると思ったし、やめて欲しくて緊張がマックスになり「プッ」とおならが出ちゃった。
継母が凄く睨んでいるのが分かり、手を慌てて引っ込めて「ごめんなさい、ごめんなさい」と言っていた。
するとその女の人は継母に、「いい?私が帰った後にこの子を殴ったら酷い目に遭うよ」と言って、そのまま百科事典も売らずに帰って行った。
継母は数ヵ月後、とうとうキレた私がグーで殴ったら、翌日学校から帰ったら消えていて、その後は突然実母が現れて高校大学と面倒を見てもらった。
今は結婚してマンションも購入し、夫と犬と幸せに暮らしている。
仕事にも恵まれ、その百科事典売りが言ったように上り調子に。
そして一昨日の話です。
まだ怖くて震えるんだけれど・・・。
マンションのエントランスからインターホンが鳴ったので出てみるとヤ●ト運輸だったので、心当たりの荷物もあるし、解錠してハンコを持って玄関先で待っていた。
玄関でピンポンと呼鈴が鳴ったので疑いもなくドアを開けると、見知らぬおばさんが立っていたので「あれ?」と思った。
おばさんは玄関にスルッと入って来るなり、「手を出して」と言った。
その時点では私は全く過去のことを思い出してもいなかったし、怖いヤバい変な人だって思って、「出てください!何なんですか!」とおばさんを外に押しながらパニックになっていたと思う。
おばさんは、「大丈夫だとは思うけど、思うけどね、落ち着いて。手を出して。気になってたのよ」・・・みたいなことを言っていたと思う。
そして突然、過去の百科事典売りのことを思い出した私は固まった。
おばさんは私の手を取って、「やっぱり大丈夫ね。家族を見つけたのね、良かった。本当に良かった。驚かしてごめんね。でももう大丈夫だよ。あなたは幸せになったし、もっと幸せになるから。じゃ、ごめんください」と言って出て行った。
夢だったらいいのに・・・という感じもあるし、怖いし、でも”幸せになる”というのは嬉しいし、でも怖い。
おばさんが出て行った後、玄関でボーっとしていたら宅配便が本当に来たから夢ではないと思う。
(終)
同じ人が数十年たって目の前に現れたらそりゃあ怖いと思うよね。でも幸せになると言われて現在幸せでこの先も幸せになるよって言われたんだから素直に喜ぼう!もしかしたら言霊とかもあったんじゃないかと思ってしまいました。