下着泥棒の被害にまさか自分が

ベランダ

 

2階建てのアパートの1階に一人で住んでいた頃の話。

 

『下着泥棒』とは聞いた事はあったが、まさか自分の身に起きるなんて・・・。

 

下着もベランダに夜でも平気で干していて、「下着が無くなっている?」と気が付き始めた頃、下着を外に干すのは控えていた。

 

ある日、面倒臭くて下着やパンストが入ったままの洗濯ネットをそのまま干した。

 

外からは下着も見えないだろうと甘い考えで。

 

夜になり、洗濯物を干したままだと気が付いて取り込もうとした瞬間、全身に鳥肌が立った。

 

洗濯ネットはそのまま洗濯バサミにぶら下がっていたが、ファスナーが途中まで下ろされていて、下着とパンストだけ抜き取られていた。

 

完全に取られていると分かったのと、このファスナーを下ろして・・・と考えたら気持ちが悪くて、もう外には干すまいと思った。

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盗られた物が返ってきた?!

それから暫く経ったある日、知らない番号から電話がかかって来た。

 

管轄外というか、地元からは少し離れた街の警察からだった。

 

「お宅の家の下着を盗ったという男がいるんですが、心当たりはありますか?」と。

 

下着を盗っていたのは妻子持ちの男で、いろんな家で下着を盗んでいたとの事。

 

気持ち悪かったのが、「この下着はあそこの家で、この下着はあそこで」と、盗った下着と盗った家を把握していたという事。

 

それからまた何年か経ち、気が緩んだ頃。

 

深夜に帰宅するとベランダに何か掛かっている。

 

街頭の灯りだけで見えづらく、きっとどこかの洗濯物が飛ばされて道路に落ちたのを、コーポの住人が私の物だと勘違いして親切にベランダに掛けてくれたのだろうと思った。

 

・・・が、近付くとそれは私のパンツだった。

 

それが以前に盗まれた物なのか、新たに(干して)盗られた物かは分からなかったが。

 

同じデザインのブラジャーだけは手元にあったので、自分の物だとすぐ分かった。

 

盗られた物が返ってきた・・・。

 

そんな薄気味悪い状況で、しかも深夜に一人で家に居る事が怖くなり、近所に住む姉に電話して、その日は姉の家に泊まる事にした。

 

翌日、もうあのコーポに一人で住むものか、暫くは姉の家でお世話になろうと思いたち、とりあえず荷物を取りに帰った。

 

外は明るいが、この部屋がマークされていると思うと気持ちが悪くて、ベランダの窓から見える景色をうかがってみた。

 

すると、ベランダの床に何かが落ちている。

 

ベランダの床に落ちている物を拾ってみると、また私の(違う)パンツで・・・。

 

今から思うと、昨晩はベランダに掛かっている物だけを持って逃げる様に姉の家に行ったが、あれは私に気付かせる為の物であって、本当の目的は今拾ったパンツにあったと思う。

 

そのパンツのクロッチの部分にカピカピのシミ。

 

※クロッチ

股間にあたる布が二重になっている部分。

 

不用意に何だろう?と臭ってしまった。

 

それが男性の体液だという事が分かり、全身に鳥肌が。

 

また姉に電話して、これはもう警察に届けようという話になった。

 

警察は近隣のパトロールを強化すると約束してくれ、一度だけ「パトロールしました」という報告メモが投函された。

 

その後すぐに姉の家で同居を始めたので、その後は分からない。

 

だいぶ落ち着いた頃に、「ある時こんな出来事もあったなぁ」と何故か『下着泥棒』でネット検索してみた。

 

すると、下着泥棒に入る人たちの為らしきスレッドがあった。

 

読み進めていくと、泥棒体験や報告などが書き込まれていて、“クロッチに射精して持ち主の元に返す”というのが下着泥棒の間ではマニュアルの様で、”遂行して来た”という人が勇者扱いになっていて驚いた。

 

(終)

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