鳴り続ける無言電話の相手とは

母方の、叔父さんと叔母さんの実体験。

15年くらい前の正月2日のこと。

 

叔父さんたちは、

年末から実家に帰って来ていて、

のんびりしていたところに

昼頃、一本の電話が来た。

 

警察からだった。

 

こっちは雪国だから、

叔父さんはスキーが好きな後輩を

一人連れて来ていたんだけど。

 

その後輩が、列車事故にあった

という連絡だった。

 

線路をスキーを履いたまま渡ろうとして、

列車にはねられたらしい。

 

叔父さんたちは、遺体の確認をしに

出かけて行った。

 

私は、その頃6歳くらいだったので

良く覚えていないけれど、

やたら慌ただしかった記憶だけある。

 

はねられたのは、やっぱり叔父さんの

後輩に間違いなかった。

 

即死だったらしい。

 

後輩の家族が遺体を引き取りに来て、

叔父さんたちも葬式に出るため

早々と東京に帰って行った。

 

東京に着いたのが

6日の昼頃だったんだけど、

その日の夜に

変なことが起こった。

 

やたらと電話がかかってきて、

しかもそのほとんどが無言電話。

 

ちょうど叔母さんがご飯の支度を

しているところだった。

 

だから、叔父さんがずっと

電話を取ってたんだけど、

うんともすんとも言わない。

 

しまいには頭にきてしまって、

叔父さんは電話が鳴っても、

取るのを止めてしまった。

 

ご飯を食べている間も何度も電話が鳴って、

叔母さんは気になってしょうがなかったけど、

叔父さんが放っておけと言うので、

出るわけにもいかなかった。

 

ご飯の後、叔父さんが風呂に入っている時に

また電話が鳴った。

 

気になっていた叔母さんは

急いで電話に出た。

 

そうすると、受話器の向こうから

ハッキリした声で聞こえた。

 

「あ、もしもし・・・、俺、Hですけど・・・」

 

電話の相手は死んだ後輩の声で、

死んだ後輩の名前を名乗った。

 

叔母さんはパニックになって

電話を切ってしまい、

それ以上何を言ったかは

分からなかったと言っていた。

 

(終)

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