幽霊らしく、明るいのは苦手のようだ
今住んでいるマンションには、借りた当初から部屋に一人と玄関に一人、『こちら側の世界の住人ではない方』が同居していた。
とは言っても、どちらも霞の様な状態で動く事もなく、意思もないのか、ただそこにいるだけで特に害はない。
そんなものがあれば下見の段階で他のマンションを探している。
ただ、玄関にいる方は若干まだ人の形をしていて、何もしては来ないのだが少しだけ困った事になった。
すぐに切れる電球
それに気付いたのは引っ越して2日程で玄関の電球が切れた事が発端だったのだが、古い電球のままだったのか?と新しい電球を買って取り替えても、また1日程で切れてしまう。
ワット数を間違えたか?と思い確認するが、その点は問題ない。
何故だか替えても替えても3日も持ってくれない。
これ以上はお手上げなので大家さんに電話して事情を話すと、すぐに業者を手配してくれた。
ところが、点検しても異常は見当たらないと言われ、新しい電球を取り付けて「これでダメならまた連絡を下さい」と言って帰ってしまった。
結局、業者の人が取り付けてくれた電球も、次の日には切れていた。
そうなるともう原因は、目の前に居るかろうじて人の形を保っている存在だ。
(ああ、明るいのは嫌いなんだな・・・)と諦めて、玄関の電球は切れたまま放置する事にした。
うちに遊びに来た友人達にも「玄関の電球切れてるよ?」とよく突っ込まれたが、こればかりは説明しようがないので壊れているとだけ伝えていた。
そして入居して2年程した頃、いつの間にか玄関にいた方が居なくなっている事に気が付いた。
すぐに気付けないくらい、もう存在が薄かったみたいだ。
(もしや?)と思い、さっそく電球を取り替えてみると、1週間どころか半年経っても切れる気配がない。
昼間でもピンピンしている幽霊もいるというのに、幽霊らしく明るいのは苦手な奴もいるんだなぁ、と勉強になった。
ちなみに、玄関に居た人よりもさらに存在感が薄かったはずの部屋に居る方は、今も絶賛同居中だ。
(終)
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