私を守ってくれている3匹の猫
私は小さい頃から怖い話を読んだり聞いたりするのは苦手だった。
そんな私も、ある時から夜中に鏡を見るのもお風呂に入るのも平気になったし、怖い映画を見た後に、やたら背後や窓やドアが気になることもなくなった。
もちろん霊感は無いので、生まれてこのかたオカルトな体験も全く無かった。
これは、つい最近の話。
会社の同僚にいわゆる”みえる人”がいて、その人の占いがよく当たると評判になっていた。
今後良い出会いがあるかどうかは
占いといっても特に何かするわけではないが、なぜか色々と言い当てられてしまうらしい。
タダで見てくれるんだしやってもらったらどうかと勧められたが、私はスピリチュアルとかそっち系には興味が無かったので、なんだかんだ理由をつけて断っていた。
興味本位で休憩時間中にワーワー囲まれているのも見ていて気の毒だったし。
そんなある日、偶然休憩室でその人(Aさんとする)と二人きりになった。
Aさんが私の方を見た途端、驚いたように目が点になり、飲んでいたコーヒーを吹きそうになってむせていた。
物凄い勢いで咳き込むAさんを見て、「だ、大丈夫ですか?」と私は慌てて声をかけ、背中を叩いたりさすったりした。
しばらくするとAさんは、「すみません。ありがとうございます・・・」と落ち着いたようだったので、私も座ってお昼ご飯を広げた。
するとAさんはお弁当を食べ始めた私を見つめながら、「ちょっとお話があるのですが、いいですか?」と真剣な顔をして聞いてくる。
続けて、「いきなりこんな事を言うのも失礼だとは思うのですが、伝えておいた方がいいと思いまして・・・」と。
私の顔が変だったとか、服に穴が開いているからコーヒーを吹いたんだよ、とか言われるのかと身構えたが、そうではなかった。
A「○○さん(私)、小さい頃から今まで猫を飼ってらっしゃいましたよね?」
私「ええ、そうですけど?」
正直、猫好きだとか昔に猫を飼っていたのは周りによく話していたから、知れ渡っていてもおかしくないかなと思った。
A「そのうち亡くなっている猫ちゃんって、サバトラのオスと、シャム猫っぽい雑種がオスとメス一匹ずつですよね?」
私「えっ!?」
さすがに猫の模様やら種類までは話した覚えがないし、そもそも写真を見せた覚えもない。
まさに、『なにそれ?怖い!!』状態。
A「あの・・・非常に言い難いんですけど・・・、その3匹が○○さんのマフラーみたいになっています」
私「ブッ!!」
今度はこっちがお茶を吹きそうになった。
確かに、私は小さい頃から猫を首にかけて、「生きてる毛皮のマフラー♪」とか言って遊んでいた(猫は嫌がっていなかった)し、お腹のプニプニ加減や毛のモフモフ具合が首の後ろに当たるのがくすぐったくも気持ちいいので、それ以降の猫も余さずマフラーの犠牲になっていたのだが・・・。
私「それって、ずっとですか?」
A「多分ずっとだと思います。○○さん、肩こりとか酷くありませんか?」
私「ガッチガチですね・・・。常時猫3匹も乗せてりゃ肩も凝りますよね・・・」
A「でもその子たちが鉄壁でガードしてくれているので、いわゆる『あなたの知らない世界』的な体験は今後も一切ないのは間違いないはずです。他には悪徳商法とか悪い人にも引っかかり難いと思います。ちょっと羨ましいです」
私「・・・はあ」
A「ただ・・・」
ここで言い難そうに口ごもるAさん。
私は、「ここまで来たらもう全部言っちゃって下さい。その方がスッキリしますし」と促したところ、Aさんは「では言いますね。その子たちが気に入った人とでないと、お付き合いすら出来ないと思います・・・」。
最後に最大級の地雷を残していった。
なるほど、『年齢=恋人いない歴』なのはそういう理由だったのか。
ガードが固すぎるのも問題だと思いつつ、死んでからも憑いていてくれるなんて、ある意味飼い主冥利に尽きるなとも思った。
そして今日も4代目の猫を可愛がっています。
今後良い出会いがあるかどうかは『猫のみぞ知る』、という感じでしょうか。
(終)
ねこまふら…!いいなぁボクもしてみたい…
こんにゃろっ、幸せになりやがれ!!