あるはずのないクリスマスプレゼント
これは、前田さん(仮名)が小学校5年生のクリスマスに体験した怖い話。
小学校も高学年になると、サンタクロースの正体に気づきますよね。
前田さんも、そうでした。
4年生の時のクリスマスに、サンタクロースの正体がお父さんとお母さんだと気づいてしまったそうです。
だから、「今年はお正月に家族旅行に行くからサンタさんは来ないわよ」とお母さんに言われ、クリスマスプレゼントは無いんだと覚悟していたそうです。
ところが、12月25日の朝、目を覚ましてみると枕元にリボンで飾られていた箱が置いてあったので、前田さんはビックリしました。
「あんなこと言っていたけれど用意してくれたんだと嬉しくなりましたね」
当時を思い出して前田さんはそう言っていました。
それから前田さんは、ありがとうを言うために箱を持って1階にいるお母さんの元へ降りて行ったそうです。
ところが、お母さんに箱を見せてもキョトンとしています。
「どうしたの、それ?」
だったら、お父さんが一人で用意してくれたのかな?
あくびをしながら起きてきたお父さんに尋ねてみましたが、お父さんも自分じゃないと言います。
もしかしたら本当にサンタクロースはいるのかもしれないと興奮する前田さんに対して、両親は「なんだか気味が悪い・・・」と心配そうに見えたそうです。
とりあえずプレゼントの箱を開けてみようということになり、前田さんはリボンを解いて箱を開けました。
「でも、その後のことは何も覚えていないんですよね・・・」
前田さんは私にそう語りました。
前田さんが次に覚えているのは、救急車に運ばれていく両親の姿だそうです。
前田さん一家は、お正月の家族旅行で交通事故に遭い、ご両親は帰らぬ人となりました。
「アレは開けてはいけない箱だったんじゃないでしょうか・・・」
前田さんは今でもそう思っているそうです。
(終)