閉鎖された客室のバスルーム

近所の大通りに面した、

ラブホテルでの話です。

 

そのラブホテルには

地下の客室があって、

ある日、そこへチェックインをした

カップルがいました。

 

彼氏が先にシャワーを浴び

彼女がベッドで待っていると、

 

彼氏が、「あれ?

こんなところに扉がある」

と言い出しました。

 

浴室内のことです。

 

「ちょっと開けて入ってみよっか?」

と彼氏が言ったので、

彼女は「やめなよ~」

と言いました。

 

しばらく沈黙が続き、

シャワーの音だけが聞こえます。

 

彼氏が全く話さないので

不安になった彼女は、

バスルームの扉を開けました。

 

すると、

そこには彼氏の姿はなく、

ただシャワーだけが

バスルームの床を叩いていました。

 

隅の方には、四方50cm程の

人が一人通れるかくらいの

金属製の扉が開いていて、

下りの階段が覗いていました。

 

彼女は怖くなりフロントに駆けつけ、

事情を説明すると、

 

「おかしいですね、バスルームには

扉のような物はありませんが」

と言われました。

 

「いいから来てください!」

と強めに言い、

従業員と一緒にバスルームに駆けつけると、

そこには何もなかったのです。

 

それ以来、彼氏からは連絡も何もなく、

行方不明ということになりました。

 

また、同じ出来事が頻発したため、

今ではその地下の客室は

完全閉鎖されているということです。

 

(終)

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