山道の休憩所に突然現れて消えた老夫婦
これは3年くらい前の夏、ツーリングで岐阜の山の中を走っていた時の話。※2015年5月投稿
それまで晴れていたが、急にポツポツと雨が降り出してきた。
偶然にも休憩所というか駐車場のような場所があったので、休憩がてらに寄る。
そこには駐車場とトイレ、そして木製の屋根とテーブルとベンチがある休憩所があった。
トイレで用を足していると雨が強くなってきて、雷も鳴り出し、いつ雨が止むのか分からない状況になったので、レインコートを着て様子をみようと思った。
着替えるためにテーブルの上に荷物を置いてゴソゴソとレインコートを取り出していると・・・、ふと顔を上げればベンチに老夫婦が座っていた。
さっきまでいなかったのにいつ来たんだ?と思いながらも、この雷雨がいつ止むのかの方が俺には重要だった。
そして着替え終わってから5分ほど空を見ていたのだが、老夫婦はその間は無言。
居心地が悪いので、俺の方から挨拶がてら「急に降り出しましたね~」と声をかけた。
老夫婦は俺の言葉に顔を見合わせてから、爺さんが「ずっと降ってるよ」と答えた。
今降り始めたばかりなのに何言ってるんだろう?と思ったが、顔を合わせないように空を見ながら「バイクだし早く止んでくれないと帰れないんですよ~」と返した。
すると爺さんは2秒ほど間をあけて、「そうだね、可哀想に。帰れないね」と言った。
そこでアレ?と思った俺は、老夫婦の方を見ると二人がいない。
辺りを見回してもいない。
あ、これヤバイ奴かも・・・・・・と思って立ち去ろうとした時、遠くで怒鳴り声が聞こえた気がした。
そこでプツっと意識がなくなった。
ハッと目が覚めると、30代くらいのお兄さんが俺の肩を揺らして「大丈夫か?大丈夫か?」とやっていた。
聞けば、そのお兄さんがトイレから出てきたら、俺が柵を乗り越えて崖の下にダイブしそうになっていたところを慌てて止めてくれたらしい。
時間からして気を失っていたのは2分くらいか。
あれだけ降っていた雨も止んでいた。
というより、お兄さんが言うには雨なんか降っていないらしい。
でも俺はレインコートを着ていて、道路には確かに雨の痕跡はなかったが、レインコートだけはびっしょり濡れていた。
※以下は、同じような場所で同じような体験をした別の人の話
類似する体験談
これは昨年の夏、バイクでツーリングに行った時の話。※2007年7月投稿
3人で岐阜の飛騨高山の山道をのんびり流して、休憩所の小屋みたいな所があったのでそこで休むことにした。
誰もいなかったので田中(仮名)がベンチに横になり、「少し寝かせろ」と言う。
俺と和田(仮名)は景色を見ようと遊歩道に進み、滝がある場所に出たのでそこに30分ほどいた。
しばらくすると黒い雲が出てきて、「降るかもしれない」となり、すぐ出発しようと小屋に戻る。
戻ると田中は爆睡していたので、揺さ振って起こそうとするが一向に起きない。
とうとう雷雨になってしまい、そこで雨宿りをすることに。
しばらく和田と談笑していると、傘をさした夫婦が入ってきた。
和田が「こんにちは。災難ですね」と話かけると、旦那が「ええ、ほんとに」と。
その後、俺と和田が話しをしている間中、その夫婦はずっと黙ったままで寝ている田中を見ていた。
気味が悪いので、俺はそれ以上その夫婦を見ないようにしていた。
しばらくして大きい雷が近くに落ちて、俺と和田はビクッとした。
すると突然、田中がムクっと起き上がってこう言った。
「今の顔、見たか?」
何を言っているのか分からず見回すと、夫婦がいない。
和田が慌てて小屋の外に出て確認するも、俺たちの3台のバイクしかない。
ここは山奥なのに・・・。
田中「もう大丈夫、感じない。寝てたらヤバそうなのが2匹入って来る気配がして起きた。ずっと見られてたから寝たフリしてた」
和田「俺、話かけちゃったよ・・・」
田中「『災難ですね』だろ。奴は『ええ、ほんとに』と答えたよな。あれ、お前のことを言ってたんだよ」
和田はかなりビビッていたが、田中が「大丈夫。俺いつもこんな体験するから、寝たフリしながら俺たちに憑かないよう念を送ってた」と言った。
(終)