一週間ぶりの帰宅
男は一週間ぶりに、
出張から家に帰ってきた。
出張前の掃除は必ず怠らないので、
さっぱりとして気持ちの良い帰宅。
男はシャワーを浴び、
つまみを食べながら
ビールを飲む。
眠くなった男は寝室へ行き、
部屋の明かりを点けようと
スイッチに手をかけた。
「カチッ、カチッ、」
あれ?
電球切れたのか?
部屋の明かりは点かなかった。
久しぶりの寝室に漂う
緊張感に身を震わせ、
馴染んだベッドに滑り込んだ。
午前2時、
携帯の着信音が突然に
鳴り出した。
「あなたの家に行ったら
知らない女の人が居て・・・」
「ゆみこ?何言ってるの?」
男は彼女の言葉に、
心臓はバクバク鳴った。
・・・心当たりはある。
浮気を認めて謝るか、
言い訳を考えるか。
いや待て、
まだ決断の時じゃない。
母親かも知れないし、
もしかしたら管理人さんかも。
なんで管理人さん!?
あのおばちゃんが
僕の不在を狙って部屋に入り、
何をしたんだ?
それはそれで怖いよ!
とりあえずシラを切り、
適当に彼女の話に合わせながら
状況を判断しよう・・・。
「で、何?」
「邪魔だから殺したよ。
片付けるの面倒だったし、
ベッドの下に置いといたから」
(終)
解説
知らない女の人(おそらく浮気相手)は
男の彼女に見つかり殺された。
そして今、
その死体がベッドの下にある・・・。
臭い(腐乱臭、血の臭い)で気づきそうなものだが。