幽霊に殺される!と思った体験談
僕は、相場の半額の家賃の部屋に住んだことがある。
過去の住人は3ヵ月もたずに出て行っていた。
いわゆる、曰く付きの“訳有り物件”だ。
幽霊なら子供の頃から見慣れている僕は、平気だと思っていた。
おまえも同じ目に遭わせてやる
まず現れたのは、血まみれの兵隊さん。
見た目は凄かったが、敬礼しながら立っているだけだったので、慣れたら平気だった。
でも本当の恐怖は1ヵ月後くらいに現れた。
僕は生まれて初めて「幽霊に殺される!」と思った体験をした。
その夜、寝ていたら金縛りに遭い、武士の霊が現れた。
「おまえも同じ目に遭わせてやる・・・」
そう言って、持っていた刀で刺された。
痛みや出血はないのだが、刺された所から体温というのか、エネルギーみたいなものをどんどん吸い取られていく。
みるみる体温が下がっていく感じで、「このままでは死ぬ、殺される」と思った。
とっさに、心の中で『守護霊様、助けて下さい』と念じると、武士の霊の後ろに白い着物姿の女性が現れ、武士の霊の襟首を掴んで僕から引き剥がした。
その時に「ウゲェッ!」と言った武士の霊の声は今でも忘れられない。
翌朝から僕は原因不明の低血圧になった。
朝、目が覚めた時点で貧血のような状態で起き上がれない、という事が数日続いた。
這うようにして病院に行ったが、検査結果は異常なし。
身体の不調は2ヵ月程続き、結局は仕事を辞めて実家へ帰る事に。
しかし、帰る新幹線の中で不思議なくらい元気になり、実家に着いた時には身体は何ともなくなっていた。
アパートを引き払った時に管理人に聞いた話では、僕の前の住人も、その前の住人も、身体の具合を悪くして出て行っていたそうだ。
もしかしてみんな、あの武士の霊の仕業じゃないか?と思った。
(終)