友人が怪死した雑居ビルでの恐怖体験 2/2
駅の改札に着くと、
Bが待っていました。
「ったく、遅い!
映画が終わってから
1時間も経ってるぞ!」
とBは怒っていましたが、
Aがいないのに気づくと、
「Aはどうした?」
と聞いてきました。
私はこのまま外にいると、
Aが後ろからあの奇妙な動きで
追って来るような恐怖に襲われ、
とりあえずBを促して駅の中にある
ファーストフード店に入りました。
私は起こったことをBに話しました。
うまく整理出来ずに話したので、
途中Bに「もう一度詳しく話せ」、
と何度も言われました。
最初、Bは私がからかっていると
思っているような態度でしたが、
だんだんと真剣な顔つきになってきました。
というのは、
Bは霊感が少しあるヤツで、
私達に起きたことが尋常ではないと、
ピンと来たようです。
「とりあえずそのビルに行ってみよう」
とBは言いました。
私は嫌だと言いましたが、
「Aをほっとけないだろ」
という言葉を聞いて、
「確かにそうだ・・・
Aは何かに憑かれたのかも知れない」
と思い、
件のビルまで行きました。
先刻と同じように階段を上ってみると、
3階にはCD屋さんへと続く扉がありました。
4階に上ってみると
ゲームセンターになっていて、
そこも普通に入れました。
階段はそこで終わり。
4階建てのビルでした。
私達は首を横にひねりましたが、
その日はとりあえず家に帰ることにしました。
明日、もしかしたらAは普通に
学校へ来るかも知れない、
そう思ったからです。
次の日、登校すると、
Aは来ていませんでした。
私より10分ほど後に来たBが
顔を青くしながら、
今朝に変な夢を見たと言いました。
その内容とは、
Aが森の中を泣きながら
裸足で歩いており、
しきりに「悔しい悔しい・・・」と、
呟いているというものでした。
そのあとBは、
「あれは単なる夢じゃない・・・」
と言いました。
でもどうしていいか分からないと、
続けて言いました。
それから数日経ってもAは帰って来ず、
捜索願いが出されました。
私とBも、警察まで行って
その日のことを聞かれましたが、
あの不思議なことは話しませんでした。
それから1ヶ月後くらいでしたか、
Aが発見されました。
それも死体で。
これは、直接家族の方に
聞いたわけではないのですが、
何故か私の住んでいる町から
100キロ以上離れている隣県の、
山の中にある神社の境内の横で
カラッカラに干からびて死んでいたそうです。
しかも、
死後1ヶ月は経っていたそうです。
当時はAが死んで
とてつもなく不快な体験でしたが、
日が経つにつれて、
次第に忘れていきました。
そして先日、
Bに何年か振りに会って、
「あれ、何だったんだろうな」
という話になり、
思い出した昔の体験談です。
あれからあの映画館に行っていませんが、
久し振りに行ってみようかな。
(終)