不可解な同僚の行方不明と親族の不幸
これは、会社の先輩とその親族に起きてしまった、不可解で後味の悪い話。
その先輩は新婚で、奥さんは双子を妊娠していた。
ところがある日、奥さんは切迫で緊急入院に。
翌々日に、日本の北と南の距離で離れて暮らしている先輩のお母さんが脳梗塞で緊急手術に。
先輩は1週間ほど有休を使い、お母さんが入院している病院へ行った。
しかし、行ったきり先輩と連絡が取れなくなった。
悪い夢を見ていただけ・・・
1週間が過ぎても先輩が出勤しないので、奥さんが入院している病院に行っみたけれど、奥さんも連絡が取れなくなったことで軽いパニックを起こしていた。
そして、お母さんが入院しているという病院に上司が行ったものの、病院側からは「教えられません」という回答だったそうで。
そこで上司は脳外科の病室を一部屋づつ見て回ったけれど、該当する人がいなかった。
違う科も同じく、それらしい人はいなかった。
奥さんから預かった結婚式の招待リストに親戚の住所があったので、その病院から近いお宅を訪ねるも、実在しないか、もぬけの殻。
先輩の携帯は電源が切れたままで、依然として行方不明だった。
仕方なく奥さんの了承を得た上で、警察に行き、先輩の捜索願を出した。
数日後、奥さんは双子を死産した。
奥さんはショックと不安で食事を受けつけず、眠れない状態が続いていた。
それを、先輩は知る由もない。
会社としても、このままだと先輩は解雇処分になるとのことで、奥さんの為にもと、上司や部下で現地に何度も足を運んだ。
だが、警察も全くの手掛かりなしで、結局は社内でカンパを募って興信所に捜索をお願いしたが、3ヶ月が過ぎても状況は変わらなかった。
その後、先輩は解雇処分になってしまった為、奥さんは社宅を出ることに。
引越しの手伝いに行ったが、奥さんは肌も身なりもボロボロで、悲壮感が半端ではなかった・・・。
それから半年が過ぎた頃、奥さんが会社に「お世話になりました」と挨拶に来られた。
聞けば、先輩の行方は相変わらず分からないままだという。
金融系のカードを使っている形跡もなく、本当に親族がパッと消えてしまったという感覚だそうで。
奥さんをよく知る社員曰く、奥さんは「結婚も妊娠も死産も、悪い夢を見ていただけ」と思うようにしているのだとか。
何も解決していなく、本当に後味が悪いままで・・・。
(終)