幽霊のような女性を見た4人とその後
これは、私が小学3年生だった頃の体験談。
クラスの担任は佐野先生という20代男性。※仮名
先生は少しだらしないところがあったけれど、子供好きだったのか、昼休みにはクラスの生徒たちとよく遊んだりしていて、特に男子から人気があった。
ある日の昼休みのこと、佐野先生と私と他の2人の4人で遊んだ後の遊具を片付けていると、校門の付近に“少し異様な雰囲気の女性”が佇んでいるのを見かけた。
その女性はボロボロの黒いワンピースを着ていて、右腕がない。
佐野先生がその女性に話しかけようと近寄ったところ、突然フッと消えてしまい、私たちは「幽霊を見た!」と大騒ぎした。
その後は特に何事もなく、私たちは4年生に進級。
同時に、佐野先生は転勤で他の小学校へ行ってしまった。
あの幽霊だったかもしれない女性についても、怖い話をみんなでする時には時々思い出す程度で、次第に記憶から薄れていった。
そして私たちが中学生になった頃、佐野先生のお姉さんから封書が届いた。
封書の中には『お守り』と手紙が入っていて、手紙の内容は極々短いものだった。
・手紙の送り主が佐野先生の姉であること
・佐野先生は最期まで私たちのことを気にかけていたこと
・気休めにしかならないかもしれないけれど…と、お守りを私たちに届けるよう頼まれていたこと
・私たちには頑張って生きてほしいということ
手紙には主に上記のことが簡潔に書かれていた。
数日後、あの当時に一緒に幽霊のような女性を見た他の2人にも、私のと同じ封書が届いているのを知って、3人で集まり一緒に泣いた。
あれから10年以上が経ち、特に何事もなく生活してきたけれど、先日そのうちの一人から『あの女性をまた見たかもしれない』というメールが届いた。
勘違いだと思いたい。
(終)