知らないうちに出来ていた青アザの正体
これは、僕の爺ちゃんがその爺ちゃん(高祖父)から聞いた話。
その時、高祖父はキツネを一匹仕留めて帰る途中だった。
すると、木の近くにオロオロとした男性がいた。
若くて登山者のような格好をしている。
何をしているのか聞くと、道に迷ったという。
出口まで案内しようと思ったが、時間が遅かったこともあって山小屋に泊まることを勧めた。
男性は申し訳なさそうに山小屋で休んでいると、「ところで、その腕はどうされたんですか?」と高祖父に聞いてきた。
腕を見ると、知らないうちに青アザができている。
ぶつけた覚えもないのによくわからなかったが、一応は大丈夫とだけ言っておいた。
次の日、出口まで案内した。
男性は礼をして、帰って行った。
それから一週間ほど経ったある日、風呂に入った時に腕を見て驚いた。
黒く変色していたのだ。
壊死したのかと思ったが、ちゃんと動くし痛みも感じる。
気味悪くなって知り合いの猟師に相談すると、青アザの箇所をいきなり銃で撃ち抜いた。
しかし痛みはなく、腕の色は元に戻っていた。
傷もない。
驚いて聞くと、知り合いは「化け物の仕業だ」と言った。
さらに、「昔にお前に撃たれた化け物か何かが腕を乗っ取ろうとしたんだろう」とのこと。
よくよく考えてみれば、人型の影を撃ったことがあったそうだ。
そして知り合いと一緒に山小屋へ行くと、思った通りだった。
床下から『木彫りの手』が出てきた。
それを焼いてからは、二度と同じようなことは起きなかったという。
(終)