ファンからの贈り物
幼馴染から聞いた話。
幽霊系の怖い話、ではない。
友人は某出版社に勤めていて、
とある中堅の漫画家さんの担当をしている。
その漫画家さんに送られてきた、
ファンレターの話。
ファンレターをバイトが宛先毎に仕分けした後、
軽く内容物をチェックするのは担当の仕事。
葉書や明らかに手紙しか入っていない
ようなものは特に改めはしないそうだが、
プレゼント等、何かしら紙以外のものが
入っているものは、安全や衛生等の面から、
とりあえず漫画家さんに持っていく前に
チェックをしなければならないそうだ。
ちなみに、少年漫画系だろうが何だろうが、
やはり手紙やプレゼントを送ってくれるのは
女の子が多いとのこと。
今連載している漫画にはマスコット的なキャラもいて、
手作りの人形なんかを贈ってくれる子もいる。
その日届いた手紙にも、紙以外に
ごわっとした物が入っている感触があったから、
そんな人形が入っているんだろうなーと、
微笑ましい気持ちで封を開けると・・・。
ガサッと、落ちてきたのは
大量の髪の毛。
「ひっ!」
思わず悲鳴を上げ、
慌てて隣にいた先輩を向いたら、
仕方ないな~、と言う感じで、
サッサとちりとりで髪を拾ってゴミ箱へ。
「先生には言うなよ」
とだけ言うと、
手紙を持ってどっかへ行ってしまった。
後で先輩に聞いた話によると、
まあ、たまにはこんな手紙も来るよって事らしい。
手紙は、とあるキャラクターがとても好きだ
というような内容だったそうだけど、
詳しい話も、現物が返ってくる事もなく
友人は一安心したそうだ。
とにかく心底怖かったというか、
気持ち悪かったというか、
なんか、まぁそんな感じだったそうです。
あんまり奇抜な贈り物をしても、
大抵ストップ掛かるよって話。
(終)