ある日突然起った夫の異変 2/2

布団

 

それから3日後。

 

私は仕事帰りによく駅前の

スーパーに寄るのですが、

 

その日も激混みのレジに

並んでいました。

 

私の前には3人ほど

並んでいたのですが、

 

すぐ前にいるおじさんが、

 

「あっ、あれ忘れた」

と言って私の顔を見て、

 

「ごめんなさい。

 

ちょっとすぐそこにあるやつ

忘れたから、

 

カゴ置いていくから、

ちょっといい?」

 

と言いました。

 

要するに、

 

レジの列から離脱せずに

買い忘れたものを取って来たい、

 

ということなんだと思いました。

 

私の後ろにも並んでいたので

私はなんとも答えようがなく、

 

苦笑いをしながら誤魔化して

いたのですが、

 

おじさんはカゴを置いて

その場を離れ、

 

しばらくして青のりを持って

列に戻って来ました。

 

私の後ろの人も

何も言わなかったので、

 

そのままにしておきました。

 

おじさんも私もレジを終え、

 

私がバッグに買ったものを

詰め込んでいると、

 

右肩をポンと叩かれました。

 

振り向くと、

さっきのおじさんでした。

 

「さっきはありがとね」

 

と言うので、

 

とっさのことで「いえ・・・」

とだけ言うと、

 

私の耳元で、

 

「すぐにはこないよ。

 

たまずさがとけぬうちは、

ねだやしにならないからね」

 

と言って、

また肩をポンと叩かれました。

 

私はもう、冷や水を

浴びせられたようになって、

 

固まってしまいました。

 

私が何も言えないでいると、

 

おじさんはさっさと

荷物を持って、

 

スーパーの入口に向かって

歩き始めましたが、

 

スーパーの入口を出た時、

 

入口のガラス越しに、

いきなりパッと消えました。

 

えっ?!と思い、

 

自分の荷物をほったらかして

小走りで入口に行きましたが、

 

もうおじさんはいませんでした。

 

私は目が悪いのですが、

 

コンタクトをしているので、

見づらいということはありません。

 

明らかに、おじさんは消えたと

思いました。

 

でも、あんなにはっきり

幽霊って見えるの?

 

スーパーで買い物するの?

 

百歩譲って、

もし消えてなかったとしても、

 

あのおじさんの言葉は

何なの?

 

怖いよ・・・。

 

叫び出したくなるのを押さえて、

家に帰りました。

 

帰ってから「たまずさ」など、

 

歌のキーワードをググったりして

ひたすら調べて、

 

単語の意味としては

分かりましたが、

 

(たまずさ=手紙)

 

何のことを言っているのか

意味が繋がらず、

 

怖くなって止めました。

 

その週は夫の帰りが遅く、

 

また疲れていた様子だったので

何も話さず、

 

その週末からお盆休みに

入ったので、

 

二人で夫の実家へ

お墓参りに行きました。

 

お墓参りをしたその夜、

そのまま泊まったのですが、

 

何か気配がして起きたら、

 

夫が布団の上で正座を

していました。

 

時間を見たら朝の4時。

 

「どうしたの?!」

 

と言ったら、

 

「なぁ・・・○○(私)

 

なんか前に俺が『根絶やし』って

言ったって言ってたよな・・・」

 

「何なの?!

 

・・・言ったけど、

どうしたの?」

 

見た、さっき。

 

なんか・・・

 

十二単みたいな何枚も重ねてる

真っ白の着物着て、

 

髪が長いんだけど、

ぐちゃぐちゃの髪で、

 

真っ青でやせ細った女の人。

 

着物と髪の毛、

 

長いから引きずってる

感じの・・・」

 

「夢で?」

 

「いや・・・

 

夢かもしれないけど、

 

『根絶やし』って

言われた気がした。

 

分かんないけど」

 

「・・・・・・(気絶しそう)

 

「俺・・・

 

実はその人を見るの、

2回目なんだよ。

 

小学生の時に1回見たけど、

 

その時は廊下を渡って行った

だけだった」

 

夫の実家は400年以上

続いている家で、

 

建物自体は建て替えているので

そんなに古くないのですが、

 

家が建っている土地を含め、

近隣に所有している土地は、

 

かなり古くからある土地だと

聞いています。

 

夫はその家の長男で、

他に男兄弟はいません。

 

根絶やしとはこのこと?

 

つまり、

 

夫が死ぬとか、

子供が出来ないとか、

 

そういうことなの?

 

私はもう、めまぐるしく

頭の中で考えていました。

 

夫は怖い話が大嫌いなので、

 

こういう話は初めて

したのですが、

 

歌といい、

夫の独り言といい、

 

スーパーのおじさんといい、

 

もう本当に恐怖で

いっぱいになって、

 

夫の手を握り締めました。

 

それからしばらくは

何もなかったのですが、

 

昨日(正確には今朝)の夜中、

 

また夫が突然、

 

寝ながら大きな声で

歌い出しました。

 

『すみのはに・・・とうとうと・・・

おかざりを・・・』

 

もう飛び起きて、

夫を揺さぶって起こしました。

 

夫は寝ぼけて「へ?」

って感じでしたが、

 

歌を歌っていたことを

伝えると、

 

「いや・・・俺、

死ぬのかなあ・・・」

 

とか言うので

泣いてしまいました。

 

今日、私は会社を

ズル休みしてしまいました。

 

掃除も洗濯もやる気が起きず、

こうやって書いています。

 

もう、お寺でも神社でも

何でもいいので、

 

御祓いしてもらおうと

思っています。

 

最後に、

 

歌詞の意味など、

 

何かお分かりになる方

いらっしゃいますか?

 

(終)

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