こっくりさんのルールを守らなかったせいで

こっくりさん

 

これは30年くらい前に、私が小学2年の時に2つ上の兄が実際に体験した話です。

 

その日の夕飯時、兄の顔は青白く、いつもの元気な兄ではなく、悲しそうな不安そうな感じで体調が悪そうでした。

 

気になった父が兄に、「どうかしたのか?」と訊いた直後、ジリリリリン!ジリリリリン!と電話が鳴り響きました。

 

兄は電話の音にビクッと怯えたように反応していました。

 

母が電話に出ると、兄の担任の先生からでした。

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ヤバい!バチが当たる!

兄に変わってくれということで兄が変わり、何やら話を聞かされた兄は、「はい、はい」と返事していました。

 

電話は数分で終わりました。

 

兄が食卓に戻ると、父はすかさず「何かあったのか?」と訊きました。

 

兄は急に涙目になり、「うぅぁぁー」と叫んで大粒の涙を流しながら、今日学校であった事を話し始めました。

 

私は、よっぽど怖い目に遭ったんだなと感じました。

 

当時、こっくりさんが流行っていたらしく、学校の昼休みに兄とガキ大将グループ数人でこっくりさんをやったそうです。

 

女子生徒は「やめた方がいいよ」と散々忠告したそうですが、ガキ大将のEさんは強がって聞く耳を持ちませんでした。

 

紙に書いた絵や文字とコインを使ってこっくりさんを呼び出し、こっくりさんに色々と質問したそうです。

 

それがズバリ的中していて、周りのみんなは「おぉ!」と驚いていました。

 

こっくりさんをやめる時には、『こっくりさんに帰ってもらってから紙をチリチリに裂いて外にバラまく』というルールがあるそうです。

 

また、こっくりさんがなかなか帰らない場合があるらしく、そんな時は帰るまで根気よく質問を続けたり、帰るのを待つしかないそうです。

 

この時のこっくりさんはなかなか帰ってくれなかったらしく、昼休み時間も終わりに近づいていました。

 

すると、Eさんは何を思ったのか、急に「このこっくりさんめんどくさい!」と言って、紙を丸めて3階の教室から校庭に投げたそうです。

 

クラス中、「ヤバい!バチが当たる!」と騒然になったとか・・・。

 

ガキ大将Eさんは、強がって気にもしてない様子でした。

 

そして、午後の授業が始まりました。

 

さっきの騒然となった雰囲気はなくなり、担任の先生の声以外は聞こえず静かな教室だったそうです。

 

しかし、兄はEさんが気になっていたらしく、Eさんをチラチラ見ていたのですが、時間の経過と共にEさんの様子がおかしいのに気づきました。

 

顔は黒板を直視して血の気の引いた真っ青で、体が小刻みに震えていました。

 

と、次の瞬間、ツーンと鼻をさす獣のような匂いがクラス中に立ち込めました。

 

みんなは鼻を抑え、ざわめきだしたそうです。

 

先生が窓を開ける様に指示しましたが、悪臭は消えませんでした。

 

その時「キャァ!」 と突然、Eさんの隣の女子生徒が悲鳴をあげました。

 

Eさんの様子が明らかにおかしいのです。

 

体をプルプル震わせながら、目はキツネのように吊り上がり、猫のように手を丸めて顔の辺りをなでたり丸めた手を舐めたり、口からは大量のヨダレを垂らしていて・・・。

 

異変に気づいた先生がEさんに近づき、「どうしたの?」と訊ねました。

 

Eさんは何も答えず、次の瞬間「ウォォン、ウォォン」と異様な鳴き声を出し始めました。

 

また、Eさんの目からは大量の涙が流れていたそうです。

 

(終)

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