猫の鳴き声が聞こえたので上を見ると
これは、昨夜23時頃に休日出勤から帰宅した時の事だ。
コンビニ袋をぶら下げて自宅マンションの前に差し掛かると、微かに猫の鳴き声が聞こえた。
あの発情期の何とも言えない声だ。
こんな時期に季節外れだなと思いつつ、なんとなく上の方を見た。
すると、最上階にあたる7階の端の部屋のベランダに、何か白っぽいものが動いているのが見える。
「あー、あんな所に猫いるわー」と思って玄関ホールへ入ろうとした時に、ビールを買い忘れていた事に気づいた。
着替えて出直すのも面倒なので、そのまま近所のコンビニへ戻った。
目の前を裸の赤ちゃんが!?
買い物を終えてマンションの前に戻ってくると、さっきより猫の声が大きい。
上を見ると7階のベランダには猫がおらず、なぜか真下の6階のベランダにいる。
不思議に思ったが、「え?どうやって移動した?でもまぁ猫だからな」とスルーして帰宅した。
風呂に入ってコンビニのおつまみでビールを飲んでいると、また猫の声が聞こえ始めた。
ちなみに俺の部屋は、さっきの猫が居たベランダと同じ列の3階だ。
「もしかしてあの猫、あのままどんどん下の階に降りて来てるのか?」と思ってカーテンを開けると、目の前を裸の赤ちゃんが泣きながら落ちていった。
「え!?猫の鳴き声じゃなくて赤ちゃんの泣き声?って言うか落ちていったけど!?」
慌てて窓を開けベランダに出て、下の駐車場を見たが赤ちゃんが落ちた様子はない。
「見間違いか?」
ヤバイな、今日はもう早く寝ようと部屋に戻ろうとした時、自室のベランダの端の白いものに気づいた。
猫がいた。
白くて目が赤い猫。
赤ちゃんの泣き声のようなあの鳴き声で鳴きながら近づいてくる。
俺は思わず「うわ!ううわわ!あああ!!」と声を出してしまい、おもいっきり窓を閉めた。
近所の人はうるさかっただろうが、その時はそんなことを気にしていられなかった。
猫はその後、ううう~と唸りながらベランダを2~3往復すると一声鳴いて、手すりの隙間から消えていった。
今朝になって再度確認したが、やっぱり駐車場に赤ちゃんや物などが落ちた様子はなかった。
部屋の明かりが反射してるせいか、ぼんやりと光って見える白い猫はマジで怖かった。
(終)
(=ФωФ=)