作業に出向いた客先での不可解 1/2

玄関

 

電話関係の仕事をしています。

 

数ヶ月前のある日、

都内某所のワンルームマンション。

 

そこはオートロック式のマンションで、

三階建ての建物でした。

 

築およそ3年目くらいとの事でした。

 

(ビル管理会社のお話し)

 

そのマンションのある所へ、

作業に行った時の話です。

 

作業を行なう時は、必ず前日に、

確認の電話をうちの会社では入れます。

 

私は、連絡先に指定されていた

携帯電話番号に連絡を入れました。

 

8回ほどのコールのあと、

Aさん(仮)が出ました。

 

A「・・・・・・はい」

 

妙に沈んだ声です。

 

「お世話になっております、

私、○○のBという者です。

 

A様の携帯電話でございましょうか?」

 

A「・・・・・・はい」

 

しばらく間をおいて、

 

またえらく沈んだ声で

返事が返ってきました。

 

「○○の件で、

 

A様の作業ご希望日『明日・午後』

となっておりますので、

 

明日15時頃に作業のために

お伺いしたいのですが、

 

ご都合の方はいかがでしょうか?」

 

A「・・・・・・はい」

 

都合がいいのか、悪いのか、

はいと言う返事ではわかりませんが、

 

とりあえず了承したと受け取り、

 

明日伺うこと、

作業開始前に携帯へ連絡を入れること、

 

などを再度伝えます。

 

その事前確認の時から、

変と言えば変でした。

 

何を言っても、

 

少し間をおいて「はい」という

返事しか来ないのです。

 

でも、まあ、妙な客はいますし、

 

その時は『嫌な客・変な客系』

の人じゃないだろうな・・・

 

という心配はありましたが、

特に気にもしませんでした。

 

翌日、

 

午前の作業を終えたあと、

件のAさんの所に伺いました。

 

賃貸マンションのため、

ビル管理会社の人も同席します。

 

近場のコインパーキングに車を止め、

 

マンションへ向かう前に、

これから伺う旨を携帯で連絡します。

 

A「・・・・・・はい」

 

「昨日連絡いたしました

○○のBですが・・・」

 

A「・・・・・・はい」

 

「昨日もご連絡いたしましたが、

作業の方、これからお伺いいたします。

 

あと5分ほどで到着いたしますので、

よろしくお願いいたします」

 

A「・・・・・・はい」

 

という、妙に沈んだ声で

返事が返ってきました。

 

同僚のCに昨日からのことを話し、

 

C「絶対、危ない系の客だ、

この間の○○みたいな」

 

と、決して客前では出来ない、

今まで見た客のネタで話をします。

 

「やだなぁ、○○って、この間の、

あのヒッキーみたいな奴でしょ。

 

あの部屋自体がやばかったですよね・・・」

 

そんなこんな話をしているうちに、

マンションに到着です。

 

マンションの入り口には、

ビル管理会社の人(D)が待っていました。

 

お約束の名刺交換のあと、

 

ロックを開けてもらうべく、

Aさんの部屋へ連絡をします。

 

・・・

 

1回目のコールでは反応がありません。

 

2回目のコールで、

しばらく間をおいて反応がありました。

 

A「・・・・・・はい」

 

「先ほどご連絡いたしました、

○○のBです。

 

作業の方にお伺いいたしました。

 

入り口玄関のロックの方、

解除してもらえませんでしょうか?」

 

ガチャ。

 

返事の代わりにロックが解除されました。

 

エレベーターに乗り、

お客様の階へ。

 

(3階建てのマンションの3階でした)

 

大体一つの階に6~7部屋ある

マンションでした。

 

エレベーターを降り、

通路に出ると、

 

そのうちの一つのドアが開いていました。

 

???

 

ひょっとして、ドアを開けて

待っていてくれているのだろうか?

 

そのドアの開いている部屋が、

Aさんの部屋でした。

 

「ごめんください、

○○のBですが・・・・・・」

 

返事がありません。

 

ワンルームマンションなので、

 

扉が開いていると、

内部がほぼ全て見通せます。

 

キッチンの先に部屋があり、

そこの扉も開いています。

 

廊下にあるバストイレらしい扉も

開いています。

 

しかし、

部屋の中には誰もいません。

 

エアコンがついており、

 

PCかテレビか、

あの独特の青白い光が見えます。

 

カーテンは閉めてあり、

奥の部屋は妙に薄暗いのが印象的でした。

 

D「Aさーん」

 

管理会社のDさんも声を掛けますが、

やはり返事がありません。

 

ひょっとして行き違えたのかも知れません。

 

同僚のCがロビーを見に行きましたが、

ロビーにはいなかったとの事。

 

私、C、管理会社の人ともに、

顔を見合わせます。

 

(続く)作業に出向いた客先での不可解 2/2

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