廃墟となった病院の地下で見たもの

廃墟 病院

 

高校3年の夏休みに、

とある病院の廃墟で奇妙な体験をした。

 

その頃は廃墟巡りが俺たちの中で流行り、

夏休みは大いに楽しんでいた。

 

メンバーは同級生のツレと先輩二人、

そして俺を含む計四人。

 

先輩は車の免許を持っていたので、

 

レンタカーで県内の廃墟スポットを

しらみつぶしに回った。

 

夏休みも終盤になった頃、

 

新たに廃墟の病院があるという情報を

入手した俺たち四人は、

 

いつものように探索することになった。

 

ただ、夜は危険ということもあり、

昼間に行く事となった。

 

(霊よりも物理的に危険な人達が・・・)

スポンサーリンク

廃墟で見つけた地下。そこには・・・

俺たちは昼頃に集合して昼飯を食い、

 

車で1時間程度走ったところにある、

病院の廃墟に到着。

 

時間は3時くらいだったろうか。

 

そこは国道から一本道を入った

奥まったところにあったが、

 

周りには民家も結構あり、

それほど嫌な感じはしなかった。

 

廃墟は3階建ての比較的大きな病院だった。

 

案の定、ガラスは全て割られ、

所々に落書きがされていた。

 

昼間ということもあり、

怖さというものは全く無かった。

 

「なんか楽勝じゃね?

二組に分かれて探索するか」

 

と先輩が言ったので、

俺は同級生のツレと回ることにした。

 

まずは俺らが先に入ることになった。

 

1階を回り2階へ上がったところで、

外で待っている先輩に合図する。

 

続いて、先輩が建物の中に入る。

 

さすがに元病院なので、

 

薬の瓶や残されたカルテなどが

異様な雰囲気をかもし出している。

 

所々に置いてある棚を開けては、

ワーワー騒ぎながら2階を制覇。

 

そして、3階のちょっとした広い場所で、

先輩を待つことにした。

 

10分程して先輩と合流。

 

上がって来たまでの部屋の様子を話し、

3階を先輩と回ることになった。

 

昼間ということもあり、

 

日が差し込んだ建物の中は明るく、

怖いという感覚はそれほどなかった。

 

むしろ、物足りない気持ちだった。

 

そろそろ戻ろうかという時、

 

「おまえら、

俺らが下に降りるまでここにいろ。

 

降りたら下から合図するから

そしたら降りて来い」

 

と先輩が言った。

 

物足りない俺には楽勝だったので、

いいですよと言ってそれに答えた。

 

上がって来る時に一通りの部屋は見たし、

 

階段を降りるだけだから、

それほど時間も掛からないだろうと思った。

 

10分程経った頃、

 

「おーい、降りて来ていいぞー!」

 

と下の方から声が掛かった。

 

ツレに「じゃあ行くか~」と言って、

階段をゆっくり下りて行った。

 

1階に降りるだけなら1分と掛からない。

 

特に何もなく1階に降り切ったが、

実はまだ『地下』があった。

 

1階の階段を降り切り、

Uターンする形で裏側に回ると、

 

地下に降りる階段がある。

 

どうやら先輩たちも、

地下に降りたから時間が掛かったようだ。

 

さすがに地下ともなると真っ暗で、

懐中電灯を使って二人で降りて行った。

 

地下はそれほど広くなく、

コンクリート打ちっぱなしの5m程の廊下。

 

突き当たりの左右には部屋があり、

中を懐中電灯で照らしてみた。

 

右側の部屋はどうやら機械室のようで、

空調や配水管等のパイプが張り巡らされていた。

 

左側の部屋は、

畳が敷いてある6畳ほどの部屋だった。

 

なんでこんな場所に畳の部屋があるのか

疑問に思いながら、

 

ツレと地下を後にした。

 

1階に戻り、

外で待つ先輩のところへ。

 

「特に何も無かったですね。

で、地下の方に行きました?」

 

と先輩に尋ねてみた。

 

すると先輩は、

 

「おう、行ったよ。

 

上がる時に気になってたから

ちょっと行ってみたわ」

 

どうやら先輩たちも、

あの地下に行ったようだ。

 

「普通に機械室みたいなのと、

 

ソファーが1個置いてある

コンクリート打ちっぱの部屋だったな」

 

と先輩は言った。

 

「えっ?!

畳の部屋じゃなかったですか?」

 

すかさず俺は言ったが、

 

「いや、コンクリートの部屋だった」

 

と先輩は主張。

 

先輩たちと俺らの見たものが

あまりに違うものだったので、

 

底知れぬ恐怖を感じ、

 

もう一度確認するという考えも思いつかず、

その場を後にするのだった。

 

幾月か経ち、

 

バイト先にその廃墟へ行ったことがある

人がいたので、

 

あの地下の話をしてみた。

 

その人の話では、

 

「地下の廊下の突き当たりにドアがあり、

それを開けると機械室があった」

 

と言う。

 

「突き当たりの左右に部屋は無かった」

 

と言われた。

 

俺たちが見た畳の部屋やソファーの部屋は

何だったんだろう・・・

 

しかも、

地下の部屋の構造まで変わっている。

 

今思い出すと、

地下には一つも落書きが無かった。

 

それ以外の階には、

落書きがビッシリとあったが・・・

 

これも何か理由があるのだろうか。

 

残念ながら今ではもう廃墟も取り壊されて

確認することは出来ないが、

 

未だ疑問が残る廃墟だった。

 

(終)

スポンサーリンク

あなたにオススメの記事


コメントを残す

CAPTCHA


スポンサーリンク
サブコンテンツ

月別の投稿表示

カレンダー

2024年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

【特集】過去の年間ランキング

(2022年1月~12月)に投稿した話の中で、閲覧数の多かったものを厳選して『20話』ピックアップ!
【特集】2022年・怖い話ランキング20
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
アクセスランキング

このページの先頭へ