彼女が告白した理由にゾクッとさせられた
俺はこれまでに3人の女性と交際してきた。
その中でもとびきり色白で、可愛くて性格もいい女性が今の彼女だ。
馴れ初めは、地方の大学に入学してすぐに、家の近くのコンビニでバイトを始めたのだが、俺が深夜のシフトに入っている時にいつも来てくれる女の子がいた。
いつもフードを深く被って印象的だったその女の子から、「あの、これ、お願いします」という感じでメアドを書いた紙を渡された。
運命を感じた彼女
そこからメールをし合うようになり、付き合い始めたのはメールを始めてから3ヵ月ほど経った秋だった。
メールをしている期間は一度も会わなかったし、彼女からの告白も、俺のバイト終わりの朝だった。
もちろんフードをがっつり被って。
俺がOKの返事をすると、彼女はフード越しからも嬉しそうなのが見えて、俺もそれに惚れてしまったのだろう。
そして、フードを取った色白美人を拝めたのは1回目のデートの時だった。
その時からおかしな事を言い出していた気がするのだが、その彼女に先週ゾクッとさせられた事があった。
俺の部屋で映画を2人で見ていた。
この日、彼女はよくすり寄って来たのだが、突然「なぁ、なんで私が○○(俺)に告白した時フードしてたか分かる?」と言い出した。
あまりに突然だったし、2人して酒も入っていたから「しらねぇ(笑)」と適当に流した。
「あのさ、○○が高2の時にさ、死んでた蛇を埋めてたでしょ?」
「ん?そんな昔のこと覚えとらんわ」
「私は知ってるんよ。○○がコンビニに自転車で行く途中に見かけて、降りて埋めていったの」
・・・思い出した。
だが、その事は誰にも話していないし、彼女とは出身もかなり違うし、知るはずもない。
もうこの時は酔いが醒めていた。
「でな、私は○○をコンビニで見かけた時、『運命を感じた』と思って。○○も私の顔を知っとると思ってたからフード被ったん」
俺はもう意味が分からなかった。
もし俺の顔を3年間覚えていたりしたということなら怖いし、身震いもした。
「は?は?ちょまって。何でそんな・・・え?」と俺は焦っていたら、「もう逃がさないよ」と言われ、腕に腕を絡ませられた。
その時、彼女の肌が冷たく感じた。
俺は慌てて振りほどくと、「風呂入ってくるわ!」と言って逃げ出した。
そして、テンパってなのか酔ってなのか、便所で嘔吐した。
鳥肌も凄かった。
体の芯から冷えて、凍え死ぬという感じだった。
「○○~、○○~、パジャマ忘れてるよ~」
彼女は陽気な声色で、風呂場とトイレのある周辺まで迫ってきた。
いつもなら何ともない会話だが、自分の心拍数が上がっている気がしてならなかった。
「お、お・・・そ、そこに置いといて」
俺は少しトーンおかしく返事した。
彼女は俺のパジャマとパンツを着替えのスペースに置いて離れていった。
風呂からあがると、彼女がテレビを見ている部屋に戻った。
そして、「おかえりんご~」と笑って迎えてくれる彼女の手を握ってみた。
先ほどの芯まで凍る冷たさはなくて、酔いが回って少し火照った暖かい彼女だった。
以前から少し変わった子であることには気付いていた。
だが、ここまで気味が悪く感じられたのはこの日が初めてだった。
後日談
最近になって彼女に、「蛇埋めたのどこで見てたん?」と聞いてみたが、俺の住んでいた周辺に知り合いはおらず、行ったこともないという。
なのに俺をコンビニで見かけた時に、当時高2の俺が死んだ蛇を手で埋めていたのを思い出したと言っている。
相変わらず変わった子だが、これは“蛇が恩返しで彼女と引き合わしてくれた”と強引に解釈することにしている。
(終)
埋めてあげた蛇そのものだったりして・・・。
俺も思った