格安で譲ってもらった二段ベッドの怪
これは、友人が子供の頃に体験した不可解な出来事。
以下、友人の名前を仮にマサルとする。
マサルが小学生の頃、家に帰ると『こげ茶色の立派な二段ベッド』が部屋に置かれていた。
親父さんが知り合いから格安で譲ってもらったらしく、前からベッドが欲しかったとのこと。
マサルは大喜びで、その日からマサルが上の段、マサルの姉が下の段で寝ることになった。
不可解なことが起こる
その夜、寝返りを打ってマサルは目を覚ました。
ところが、寝る前は右側に壁があったのはずなのに、今は左側にある。
いつの間にか寝ている位置が左右逆になっていた。
寝ぼけていたマサルは、自分が寝相が悪くベッドの中で頭と足の位置が入れ替わったのだろう、そう思ってそのまま寝た。
翌朝、起きてみると壁はちゃんと右側にあり、マサルはきちんと布団に入って寝ていた。
マサルは不思議なことがあるもんだと思ったが、せっかく買ってもらったベッドなので両親にはその出来事は話さなかった。
その日の夜、マサルは夜中にトイレへ行きたくて目が覚めた。
二段ベッドのハシゴを降り、半分寝ている頭でドアの方に向かって歩くと、顔面から壁にぶつかった。
よく見ると、ドアがあるのは反対方向の壁だった。
どうやらまた寝ている位置が逆になっていたようだったが、眠かったマサルは深く考えず、トイレを済ませてからまた寝た。
翌朝、さすがに二日連続で不可解なことが続いたので、マサルは今までのことを両親に話してみた。
案の定、両親は「気のせいか夢でも見たんだ」と笑ったが、下の段に寝ている姉も同じ体験をしたらしく、青い顔で「本当だよ・・・」と言った。
このベッドで寝ていると、寝ている位置が夜中に目が覚めた時に変わっていて、朝に気が付くと元に戻っているらしい。
普段は仲が悪い姉弟も、この時は結託して両親に訴えてみたが一笑で終わった。
気味が悪い二段ベッド・・・。
使いたくはなかったが部屋のスペースの問題もあり、その日もベッドで寝ることになった。
夜中、誰かの泣き声でマサルは目が覚めた。
姉の声だ。
ハシゴで下に降りようと思ったが、どちらに壁があるのか確認するのが怖かったマサルは、頭に布団を被ったままベッドから右側に手を伸ばしてみた。
・・・壁の感触がある。
安心した反面、なにか嫌な予感がしたマサルは、左側にも手を伸ばしてみた。
・・・壁の感触がある。
驚いたマサルは、布団から頭を出して周りを見てみた。
部屋の横方向がベッドの幅に圧縮されているように、左右に壁があった。
マサルは頭がパニックになりながら、とりあえず足元の方からベッドの縁を使って下に降り、下の段の姉の布団に飛び込んだ。
姉も顔をグシャグシャにしながら泣いていて、姉弟は抱き合いながら布団を被って夜を明かした。
翌朝、目が覚めると母親の顔が目の前にあった。
しかも、かなり怒っている。
何を怒っているのか訳も分からず、マサルは姉とベッドから出るや、周りを見て目が点になった。
なぜなら、部屋のドアを塞ぐようにベッド本体が移動していたからだ。
母親は二人が夜のうちにイタズラをして移動させたと思ったらしい。
部屋のドアは内開きだったので、寝ている二人をベッドごと跨ぐようにして母親は部屋に入ったとのことだった。
姉弟は泣きながら昨夜の出来事を話した。
初めはイタズラか二人で寝ぼけたのかと笑っていた両親だったが、ベッドを元の位置に戻す段階でおかしいことに気が付いた。
どう考えても、小学生の二人が移動させられるベッドの重さではなかった。
結局、そのベッドは家から消えた。
親父さんが返品したのか捨てたのかは知らない。
それに、いわく付だったのかも分からない。
以降、マサルの家では二段ベッドの話はタブーとなっているので、未だに真相は闇の中。
(終)
・部屋の扉は内開き
・二段ベッドは部屋の中の扉の前
・母は二段ベッドの一段目を跨いで(多分くぐって)部屋に入った
なんかおかしくね?