捕まえたUFOを飲み込んでしまった妹
妹は6歳の時、公園で遊んでいてUFOを捕まえた。
UFOは手で取ったが、逃げそうだったので口に入れ、いつの間にか飲み込んだそうだ。
妹いわく、このUFOは『光る丸い鉄のキチキチといっていたもの』と。
本人はケロッとしていたが、母は私を伴い、すぐさま病院へ連れて行った。
妹の身に起きた不可解
妹の話は要領を得ず、口内にも痕跡は無いが、レントゲンで調べることになった。
だが、検査中にレントゲンが故障したらしい。(記憶が曖昧だが、先生がそう言っていたと思う)
医者は私と妹を看護師に預けると、別室で母とだけ話をしていた。
話を終えた母は、妙にオドオドしていた気がする。
帰宅した父とも何やら話していたが、どうも深刻そうに見えた。
その晩、妹は私を起こしてトイレに同行させた。
だが、中に入った途端、凄い勢いで泣き出したのだ。
当然、父と母も起き出したが、トイレのドアが中からロックされていて開かない。
妹に開けるよう言うが、泣き叫んでいる。
何か言っていたようだが、内容はよく分からない。
そして、父が「もう鍵を壊すしかない」と言い出した矢先、突然泣き声が止み、ドアが開いた。
妹は扉にもたれるようにして倒れ、トイレから出てきた。
眠っていたように見えた。
それに、下着が真っ赤だった。
便器の中も真っ赤だった。
赤黒いシミが辺りに飛んでいた。
母は妹を抱きしめて叫んでいた。
私は父に縋(すが)った。
気づくと、私は病院の待合室で寝ていた。
頃は昼前だったか。
程なくすると父が来て、私を妹の病室へ連れて行った。
妹はベッドで寝ていた。
傍らには母がいた。
疲れているようだったが、落ち着いている。
母の説明では、妹は股の間を少し切っただけ、だという。
私は「トイレの中でどうして?少し切った?」と思ったが、妹が意外と元気なので納得してしまった。
妹はすぐに退院した。
その数日後、我が家のトイレは鍵が外された。
ノック必須のルールは意外と早く浸透した。
妹は今、元気に高校へ通っている。
当時の記憶は曖昧だそうだが、トイレの中で『とても重い、見えない鉄のようなもの』を抱えさせられて苦しかったらしい。
ただ、母に当時の話をすると妙に怒るのだ。
特に医師と二人で何を話していたのか問い詰めた時は、話題を強引に私の成績不振に切り替えてまで。
(終)