布団に潜り込んだ私を押さえ付ける4つの手
私は今でも幽霊なんて信じていないのですが、どうにも心に引っかかっている体験があります。
この体験があったから、どうしても『幽霊を完全否定できない』気持ちもあります。
これは、私が小学1年生の時です。
この体験の前後のことはかなり昔なのでよく覚えていませんが、私は布団に潜っていました。
布団といっても薄っぺらで、シーツと言ったほうがいいかもしれません。
時間は夜だったと思います。
先が尖った指
部屋の電気の明かりが、その布団を通り抜けて中まで入っていました。
するとしばらくして、大きな手が2つと小さな手が2つ、計4つの手が影となって布団に映りました。
そして、強く押し付けられました。
その時、家には母と弟と私の3人しかおらず、父は仕事から帰って来ていませんでした。
なので、その手の影は母と弟のものであろう、と何の疑問も持ちませんでした。
母と弟がいたずらしているのだろう、そんな程度です。
しかし、どんどんその手は強く布団を押し付け始め、横から手を出そうにも出せませんでした。
まるでビニール袋を真空パックしたように布団が体に張り付いてきて、息も出来なくなってきました。
「出して!出して!出せよ!!」と何度も声を張り上げました。
そして、もうダメだ・・・苦しい・・・と思った時にガバっと布団がめくれたのです。
すると、そこには弟だけが立っていて、一言「どうしたの?」と言いました。
母は隣の部屋でテレビを見ていました。
時間的に、母が布団を押さえ付けるのをやめて隣の部屋に行くには無理があります。
それに、どうしても忘れられないこともありました。
それは、布団に映った大きな手と小さな手の計20本の指は、全て先が尖っていたのです。
ちなみに、その布団に曰くがあるわけでもなく、住んでいる家にもそんな話はありません。
(終)