覚えのない最終面接のお知らせ

パイプ椅子

 

会社の一次面接が終わり、クタクタに疲れて帰宅する。

 

大学4年の秋。

 

どこかしらから内定をもらわなくては、いよいよマズい。

 

パソコンを起動してメールをチェックすると、一昨日に就活Webサービスから一斉送信したエントリーシートの結果がちらほら返ってきている。

 

お祈りメールばかりの中、ひとつのメールが目に留まる。

 

『最終面接のお知らせ』

 

はて、最終面接まで進んだ企業などあっただろうか?

 

どうやらエントリーシート通過後、すぐさま最終面接へ進む企業のようである。

 

これ幸いと、中身も読まずに面接受諾のメールを返信する。

 

改めてメール本文を読むと、「明日の2時に訪問いたします」とだけ書かれている。

 

最近は企業側から訪ねてくるのか?

 

疲れた頭で考えながら、睡魔に負けて眠りにつく。

 

はたと目が覚めると、金縛りにあっている。

 

落ち着いて時計を横目で確かめる。

 

2時。

 

部屋のドアがコンコンコンとノックのような音を立て、ひとりでにゆっくりと開いて閉まる。

 

20分ほど後、再びドアがゆっくりと開いて、閉まり、意識が飛ぶ。

 

目を開け、明るい部屋を見渡す。

 

ああ、怖かった。

 

金縛りなんて、どれくらいぶりだったろうか。

 

ふと、テーブルの上に紙があることに気づく。

 

『この度は、弊社の(中略)誠に残念ながら(中略)お祈り申し上げます。』

 

はあ、私は幽霊に面接をしてもらい、見事にお祈りされたということか。

 

受かっていたらどうなっていたのだろうか?

 

(終)

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