乗客の誰も関心を示さない空席
数年前に気づいて以降、ずっと気になっていることがある。
頻度は数カ月に一度ほど。
それは、電車に乗っていると『乗客の誰も関心を示さない空席がたまにある』ということ。
他の座席は全て埋まっていて、車両の中でその1席のみが空いている。
立っている人は相当いるが、誰も座ろうとはしない。
その席の間隔は充分にあり、狭すぎるわけではない。
シートが汚れているわけでもない。
毎回確認したわけではないが、近くに臭う人がいるわけでもなさそうだ。
不思議に思うが、一人で電車に乗り、車内の誰もが押し黙ってスマホいじり等する中、「ねぇ、どうしてあそこ座らないんですかね?」と隣で立つ人には聞けない。
それに一番不思議なのは、『自分自身がそこに座ろうと考えていなかった』ということに、ついこの前まで気づいていなかったこと。
普段は優先席でも空いてれば座るのに。
小さな不思議で、ずっと心にひっかかっていた。
そしてこの週末、友人たちに話してみたら、一人だけ同じように『一つの空席』を訝(いぶか)しんでいる奴がいた。
その彼に「自分自身が座らないのはなぜか?」と尋ねたら、「そういえば、なんでだろうね・・・」と返ってきた。
どうだろう、こんな経験はないだろうか?
(終)