やはり何かしらの生贄が必要なのだろうか
これは、私の住んでいる田舎の話。
私の家の近所にある神社は、相続税の都合で地元の神社本庁に寄付されるまでは我が家の私有だった。
御神体は、私の先祖の女性が入り婿だった夫から結婚の際に贈られた品らしいが、聞くところによればヤバいものが憑いているという。
何が憑いているかまでは知らないが、祟ると怖いので『生贄を捧げること』になっている。
年に一度、生贄として近所の川で捕ってきた川魚を捌いて納めていた。
だが、それを野蛮だのと言い放った馬鹿がいた。
その馬鹿とは、地元の鼻摘み者の某宗教信者たち。
その年はある理由で儀式を自粛したのだが、某宗教信者たちの中心人物の一人が間もなく死亡した。
それも、神社で儀式の際に捌く魚と同じ姿で。
しかし彼は地元でならず者だったこともあってか、暴力団絡みの事件として処理された。
それを知った我が家と数件の祭祀を担ってきた家の当主たちは、神様に生贄を捧げ続けないと自分たちが祟られると震え上がった。
だが、某宗教信者の反発も怖いと考えあぐねた挙句、地元で大きな”朝市”を開くことに。
場所が都市近郊なので、野菜を買いに来る客は多い。
そしてこの客たちが来る朝市の会場は、神様を祀る祭壇を模して作ってある。
影響があるのか、年に一度ある別催事の客の何人かが、帰りに交通事故で死んでしまう。
やはり何かしらの生贄が必要なのだろうか。
(終)