有名心霊スポットの開聞トンネルへ肝試しに
私が大学生だった頃、
友人数名と毎年お盆前に肝試しへ
行くのがお決まりになっていた。
鹿児島でメジャーな心霊スポットの一つに、
開聞トンネルがある。
その時は、
逆にメジャー過ぎて行ったことのなかった
そのトンネルに行ってみよう、
ということになった。
メンバーとしては男三人と、
私と私の友人の五人。
ちなみに、
この五人には全く霊感はない。
鹿児島市内から二時間ほど
かかるのだが、
その間は稲川淳二のDVDを観たりしながら
賑やかに向かっていた。
午前2時過ぎ、
トンネルに到着。
ゴルフ場の傍にひっそりと、
真っ黒い口を開けていた。
特に霊感のない私たちは一度、
車で中を通り抜けることにした。
なんとなくお決まりな感じで、
中でライトを消してみたり、
クラクションを鳴らしてみたりするも何も起きず、
そのまま反対側へ。
その先は山の中に続くような道だったために、
土地勘のない私たちは引き返すことにしました。
でもせっかくなので懐中電灯を持って
中を歩いてみよう、
と男の子たちが言い出したので
歩くことになりました。
その当時、
私はそのメンバーの中の一人に
恋をしていたので、
きゃーきゃー言いながら、
寄り添うように歩いていました。
ちょうど中程まで来た時、
前から別のグループが歩いて来ました。
お互いかなりびびりましたが、
生きている人間だと分かった途端に、
笑い合いながらすれ違いました。
特に何もないままトンネルを抜け、
雰囲気を満喫出来た私たちは
帰ることにしました。
コンビニに寄ったり、
車内で話をしたりしながら帰っていると、
前方で人だかりが出来ているところが
ありました。
なんだろうと思い、
ちょっと寄ってみることにしました。
ところが、
樹の影で一瞬見えなくなった間に、
人だかりは忽然と消えていました。
怖かったのですが近くまで行くと、
車がガードレールに突き刺さっていました。
車内には先ほど出会ったグループが
乗っていました。
幸い、大した怪我はなく、
救急車とJAFを手配して、
一緒に待つことにしました。
どうして事故を起こしたのか聞くと、
突然誰かが飛び出して来たので、
避けようとして事故になったとのことでした。
私は気になったので、
他の野次馬の人たちはどうなったのか
聞いてみました。
すると、
その人たちは真っ青になりながら、
そんな人たちは見ていない・・・
とのことでした。
よく考えると、
こんな田舎で午前3時半過ぎに、
あんなに沢山の人が集まってくる
わけがありません。
その後、安全運転で帰ったのは
言うまでもありません。
(終)